関節のこわばりと膠原病の関係

太陽堂漢薬局の漢方学会・研究会での発表論文

太陽堂漢薬局が、東洋医学関係の学会・伝統漢方研究会全国大会にて発表報告した論文です。ご覧下さい。

【 膠原病 】

2007年11月 伝統漢方研究会第4回全国大会 (日本・有馬向陽閣)

金沖 良子

太陽堂漢薬局

福岡県 福岡市・日本

[諸言]

関節のこわばりは色々な原因が考えられます。その原因の1つである関節リウマチは ①関節の圧痛 ②運動痛 ③関節の腫れ ④身体の両側の同じ関節が同時に犯される。この4つのうち2つの症状があれば、一応関節リウマチを疑うとされています。

リウマチ性疾患は関節がこわばって「手を握ったり開いたりしにくい」「体を動かしにくい」などの症状が起床後、数分~1時間程度続き、暫くすると治まります。

手指の関節(特に第二関節)や付け根手首に腫れがあり痛み、左右対称に起こることが多いです。関節リウマチは膠原病の一つと考えられます。膠原病が起こる原因については不明な点が多いですが、自己免疫の異常と考えられています。外敵が侵入していないのに免疫が働き、自分の身体の成分を攻撃してしまう。これら免疫の異常が起こる原因はよくわかっていません。

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膠原病は、「リウマチ性疾患」「結合組織疾患」「自己免疫疾患」の要素を併せもつ病気。また、女性に多いのがおおきな特徴です。

膠原病に共通する症状は、関節の痛み、微熱、食欲不振、発疹、だるさ、(すべてではないが)など起こることが多く、突然、指先が白くなったり、紫色になったりすることもあり、指先を温めたり、精神的な緊張がほぐれると症状も治まってくることがあります。微熱は、風邪の場合、午前中は低く午後に上がることが多く、1週間もすれば治りますが、膠原病の症状は午前中高く、午後に下がる傾向があります。熱があるわりには元気なのも特徴といえます。

【症例】

患者は、32歳女性、体重46kg身長155cm

【初来局】

平成18年5月27日

【主訴】

3月中旬に初産で出産し、2日目の朝から両手の関節が強ばりはじめた。そのうち関節が痛むようになり、浮腫んだような感じがある。現在では両手指の関節から始まって、両足指の関節→両踵全体→両膝と、痛む場所が拡がってきた。強い痛みではないがこれ以上悪くならないか心配している。妊娠する以前から、いつもどこかに不調を感じて疲れやすく、体力に乏しいと感じている。

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ここ数年の身体の変化は、3年程前に突然髪が沢山抜けるようになり、それが治まると白髪が急に目立つようになった。安静時に動悸がする事が多く、毎晩同じような時間に目が醒めるようになった。妊娠中はそういう状態は無くなっていたが、産後また動悸を感じるようになった。また、身体が疲れると皮膚にミミズ腫れがでて痒くなることがあり、感情的に疲れると耳の下が固く腫れ上がって強く痛み、熱がでる。また、8年くらい前から、寝汗をびっしょりとかくことが多くなった。

【既往症】

うつ乳で乳腺炎になり牛蒡の種(牛蒡子)を服用していた。

【現病歴】

病院治療はしていない。

【来局時所見】

両手の指先の痛み、こわばり、足の冷え、寝汗、動悸を訴えられる。

【経過】

初回来局時

五志の治療 臓腑病 膀胱 陽症 0.2合 4+ 桂枝加龍骨牡蛎湯加真珠末証

両手のこわばり 臓腑病 胃 陽症 0合 4+ 小柴胡湯合五苓散証

六ヶ月後

五志の治療 臓腑病 膀胱 陽症 4.8合 2+ 桂枝加龍骨牡蛎湯加真珠末証

両手のこわばり 臓腑病 胃 陽症 4.0合 2+ 小柴胡湯合五苓散証

気分は良好。症状は、大きな変化は感じられないが以前に比べれば良くなった。

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一年後

五志の治療 臓腑病 膀胱 陽証 8.5合 +1 桂枝加龍骨牡蛎湯加真珠末証

両手のこわばり 臓腑病 胃 陽証 7.5合 +2 小柴胡湯合五苓散証

調子は良く、手の痛みは少なくなって痛みを忘れる時もある

【結語・考察】

同症例は病院では原因がわからないとのことで、治療はされていなかった。

初回来局時、膠原病と思われる症状が見られた。また、適応薬方が小柴胡湯合五苓散であり、かつ同方にて症状が改善された事を考えれば、同症例は膠原病だったと推測される。現在も体質改善をし、症状の治療に取り組んでいる。

本例に用いた柴苓湯は小柴胡湯1に対し、五苓散2の割合である。通常使用される小柴胡湯と五苓散の同量の既製薬方では効果が無かったと推測される。柴苓湯はその割合を個々の証に応じて調節すべきだと考えられる。