日本漢方の古方派を中心とした漢方薬・処方をご紹介します。

一般の方から専門家まで馴染めるよう、症例・処方薬味・適応疾患・使用目標・漢方の証・方意をご紹介。

当帰拈痛湯(トウキネンツウトウ)-蘭室秘蔵-

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-白朮・蒼朮白朮 生薬-当帰当帰
生薬-羗活-独活羗活 生薬-防風防風 生薬-升麻升麻
生薬-白朮・蒼朮蒼朮 生薬-人参人参 生薬-猪苓猪苓
生薬-黄芩黄芩 生薬-澤瀉澤瀉 生薬-茵蔯蒿茵陳蒿
生薬-葛根葛根 生薬-苦参苦参 生薬-知母知母

適応疾患

慢性関節リウマチ、諸種関節痛、四肢の痛み、下肢の皮膚病、バージャー病

使用目標

関節痛に用います。その目標としては関節付近の肌肉が発赤腫脹して痛むもので、関節自体の痛みではなさそうな方に用います。関節周辺の皮膚が暗赤色を呈してやや腫脹しているものに奏効する傾向にあります。

当帰連翹湯(トウキレンギョウトウ)-万病回春-をご紹介

生薬-梅

処方薬味

生薬-連翹連翹 生薬-白朮・蒼朮蒼朮 生薬-当帰当帰
生薬-荊芥荊芥 生薬-防風防風 生薬-白芷白芷
生薬-芍薬芍薬 生薬-竹節人参竹節人参 生薬-山梔子山梔子
生薬-黄芩黄芩 生薬-地黄地黄 生薬-甘草甘草
生薬-阿膠阿膠 生薬-地楡地楡 生薬-梅烏梅
中国42-生薬-大棗大棗    

適応疾患

痔疾、痔核、痔ろう、疼痛、痒痛

騰竜湯(トウリュウトウ)-本朝経験 -をご紹介

生薬-冬瓜子

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-白朮・蒼朮蒼朮 生薬-大黄大黄
生薬-牡丹皮牡丹皮 風景64生薬-桃仁桃仁 生薬-冬瓜子冬瓜子
生薬-薏苡仁薏苡仁 生薬-芒硝芒硝  

適応疾患

前立腺炎、前立腺肥大、睾丸炎、骨盤腹膜炎、虫垂炎、ソケイ部リンパ腺炎、子宮筋腫、子宮癌

使用目標

下腹部、骨盤腔、陰部等に炎症や化膿症があり、或いは腫脹、疼痛を訴える方に用いられます。

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;陽明病、実証
  • 方意;下焦の熱証:激しい充血、発赤、腫脹、疼痛
  • 備考;大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)を加減したものです。実証で急迫症状のある方には、そのまま用いて良いのですが、慢性病で便秘のない方には、大黄、芒硝を抜いても良いです。前立腺肥大で尿閉を来すものには、大黄、芒硝を去加し、八味丸(ハチミガン)と合方して用いることが多いです。

独参湯(ドクジントウ)-景岳全書-をご紹介

生薬-人参

処方薬味

生薬-人参人参

適応疾患

大出血、創傷、激しい下痢や嘔吐、発熱過多、感染症、心不全などによるショックの救急

使用目標

顔面蒼白、無欲状態、冷汗、血圧降下などの一次性ショックの状態の方に用います。大量の人参を使用して初めて効果があり、通常18gから30g用います。普通量では無効です。また、ショックが回復した日には根本的治療に切り替える必要があります。

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;虚証
  • 十二臓腑配当;肺・脾
  • 方意;補気による強心、中樞神経系の興奮、下垂体と副腎系の興奮などの一時性のショック

内托散・千金内托散(ナイタクサン・センキンナイタクサン )-千金方-をご紹介

生薬-黄耆

症例

化膿性の腫物/男性 -漢方処方・応用の実際より引用

背中に大きな化膿性の腫物ができて、痛みが激しく十味敗毒湯を飲んでも効かず民間療法の「べんけい草の葉」を貼って膿を吸い出したらようやく治った。

ところが3日も経たない内に同じ腫物が前の場所の近くにできて、痛みが酷くなり2日ほど夜も眠れなかった。

このとき千金内托散を煎じて昼ごろから夜までに1日分を飲んだところ、その夜は痛みが軽くなってよく眠れ、その後2日ほど服薬を続けて治った。

処方薬味

生薬-人参人参 生薬-当帰当帰 生薬-黄耆黄耆
生薬-川芎川芎 生薬-防風防風 生薬-桔梗桔梗
生薬-厚朴厚朴 生薬-桂皮桂皮 生薬-白芷白芷
生薬-甘草甘草    

適応疾患

諸化膿性炎症、面疔ニキビ、耳漏、肛門周囲炎、カリエス、皮膚の潰瘍

使用目標

皮膚の化膿症の比較的初期あるいは数日後に応用して、膿の醸成排出を促し、また潰瘍の治癒を助ける効果があります。

まずは十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)あるいは荊防敗毒散(ケイボウハイドクサン)などを用いて毒性を抜いて内攻を防ぎます。ついで膿点を現して来たならば、千金内托散を用いて炎症の限局と稠膿の熟成を促します。膿熟すれば切開或いは自潰によって排膿しますが、排膿後も本方を持続すれ、腐肉の脱出を計り新肉の成長を促します。

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;太陰病、虚証
  • 十二臓腑配当;脾
  • 方意;表の湿証+虚証:稀薄な膿汁・遷延性排膿・不良肉芽・局所の低緊張・波動・疲労倦怠
  • 備考;当薬局では、露蜂房末と組み合わせて痔ろうの方によく用います。

参考文献・出典

  1. 漢方診療医典 大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎 著
  2. 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
  3. 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
  4. 漢方治療百話第1~3集 矢数道明 著
  5. 腹證奇覧 稲葉克文礼 和久田寅叔虎 著
  6. 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
  7. 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
  8. 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
  9. 漢方診療30年 大塚敬節 著
  10. 皇漢医学 湯本求真 著
  11. 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
  12. 類聚方広義 吉益東洞 著