日本漢方の古方派を中心とした漢方薬・処方をご紹介します。

一般の方から専門家まで馴染めるよう、症例・処方薬味・適応疾患・使用目標・漢方の証・方意をご紹介。

桂枝去桂加茯苓白朮湯(ケイシキョケイカブクリョウビャクジュツトウ)-傷寒論-

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-白朮・蒼朮白朮 生薬-生姜生姜
生薬-芍薬芍薬 中国39-生薬-茯苓茯苓 中国42-生薬-大棗大棗

適応疾患

頚肩腕症候群、慢性頭痛 、腰痛症 、急性胃腸炎、二日酔い、腹痛、胃腸性感冒

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;少陽病より太陰病 虚証
  • 方意;表の水毒:頭重、頭痛、項強、腰痛。裏の水毒:心下痞満、悪心、嘔吐。表の寒証:悪心、発熱、頭痛、項強
  • 備考;項強、無汗は葛根湯証に似ています。葛根湯(カッコントウ)を用いて無効の場合に本方が有効な事がよくあります。

桂枝芍薬知母湯(ケイシシャクヤクチモトウ)-金匱量略-をご紹介

生薬-知母

症例

35歳・女性 -漢方処方・応用の実際より引用

患者は35歳の女子。昨年12月20日頃、風邪気味で売薬を飲んでいたが、28日になって突如、全身の関節に疼痛と腫脹を起こし、某医師より内服と注射の治療を受けたが、悪化するばかりで近頃は眩暈 、悪寒、発熱も加わり、身体を動かすことも出来ない。

食欲不振、乾嘔、四肢の冷感とだるさが酷い。酒・タバコは好まず、脂肪性食品が好き、大便は発病前は1日1回あったが今は全然なく尿量も少なくなった。体格は小さく痩せ型、栄養悪く、皮膚の色は蒼白、舌には厚い黄白苔がある。腹部は軟らかく虚状、下肢は冷たく水気あり。膝と足の関節はかなり腫大して熱感があり、上肢の関節は下肢の関節ほど腫大していないが、熱感甚だしい。聴診で心内性雑音が著明。体温38.8度で体表に発汗がある。

治療として桂枝芍薬知母湯を与え絶対安静とした。服用6日目、両関節の痛みは無く自由に動かすことができる。床上に半身を起こすことも出来、体温36.9度、排尿は3時間に1回くらいで尿量は多い。

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-白朮・蒼朮白朮 生薬-生姜生姜
生薬-芍薬芍薬 生薬-知母知母 生薬-桂皮桂皮
生薬-附子附子 生薬-麻黄麻黄 生薬-防風防風

適応疾患

関節炎、神経痛、急性副鼻腔炎、末梢神経痛

使用目標

四肢或いは諸関節の腫痛がが慢性に経過して、体が衰弱、枯燥の状態にある方に用います。

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;太陰病から少陰病 虚実中間からやや虚証
  • 方意 ;表の水毒・寒証:激しい関節痛・関節腫脹。表の寒証:悪寒・発熱

桂枝湯(ケイシトウ)-傷寒論-をご紹介

生薬-桂皮

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-桂皮桂皮 生薬-生姜生姜
生薬-芍薬芍薬 中国42-生薬-大棗大棗

適応疾患

感冒、神経痛、頭痛、寒冷による腹痛、下痢、虚弱体質、妊娠悪疽

使用目標

脈が弱く、悪寒がして発熱する方に用います。この時、頭痛したり逆上せたり、身体が痛んだり自然に発汗しやすかったりする方に用います。

熱が出た時、発汗剤を与えて汗をかいたが、悪寒が去らず、脈は依然として弱い者。また汗が出て一時よくなったが、夕方になると再び熱が高くなり、酷く悪寒がして震えが出ている方に用います。下痢した後で、大便が正常になってからも身体が痛む方に用います。

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;太陽病の虚証 時に太陰病の虚証
  • 十二臓腑配当;脾・三焦
  • 方意;表の寒証・表の虚証による頭痛・悪寒・発熱・自汗・皮膚知覚異常・身疼痛。気の上衝による逆上せ・逆上感・鼻血。脾胃の虚証による腹痛・下痢・虚弱
  • 備考;衆方の祖と称されている方剤です。桂枝湯中の芍薬の量を増やすと、太陰病の桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)。 桂枝の量を増やすと桂枝加桂湯となって、太陽病で上衝の甚だしい証に用います。

桂枝二越婢一湯(ケイシニエッピイットウ)-傷寒論-をご紹介

生薬-石膏

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-石膏石膏 生薬-生姜生姜
生薬-芍薬芍薬 生薬-麻黄麻黄 生薬-桂皮桂皮
中国42-生薬-大棗大棗    

適応疾患

咽痛で始まる感冒、諸種の熱性疾患の初期、慢性関節リウマチ、ベーチェット病、皮膚疾患

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;太陽病(桂枝二越婢一湯加苓朮附は少陰病) 虚実中間からやや実証
  • 十二臓腑配当;心・心包・膀胱
  • 方意;《表の寒証》頭痛 ・悪寒・発熱・咳嗽・咽痛・関節痛・筋肉痛・四肢疼痛 《熱証》熱感・顔面紅潮・発熱
  • 備考;附子が入ることで太陽病から少陰病になります。桂麻各半湯(ケイマカクハントウ) ・桂枝二麻黄一湯(ケイシニマオウイットウ) と並んで咽痛を初期症状とする陽証の風邪に用います。

桂枝二麻黄一湯(ケイシニマオウイットウ)-傷寒論-をご紹介

生薬-麻黄

処方薬味

生薬-甘草甘草 生薬-麻黄麻黄 生薬-生姜生姜
生薬-芍薬芍薬 生薬-杏仁杏仁 生薬-桂皮桂皮
中国42-生薬-大棗大棗    

適応疾患

感冒、扁桃炎 、気管支炎 、肺炎 、蕁麻疹 、皮膚炎

漢方の証・方意

  • 病位・虚実;太陽病、虚実中間からやや虚証
  • 十二臓腑配当;心・膀胱
  • 方意;《表の寒証・表の虚証》頭痛・悪寒・発熱・自汗。《熱証》熱感・日に再三の発熱・顔面紅潮
  • 備考;附子が入ると太陽病から少陰病になります。桂麻各半湯(ケイマカクハントウ) ・桂枝二越婢一湯(ケイシニエッピイットウ)と並んで咽痛を初期症状とする陽証の風邪に用います。

参考文献・出典

  1. 漢方診療医典 大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎 著
  2. 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
  3. 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
  4. 漢方治療百話第1~3集 矢数道明 著
  5. 腹證奇覧 稲葉克文礼 和久田寅叔虎 著
  6. 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
  7. 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
  8. 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
  9. 漢方診療30年 大塚敬節 著
  10. 皇漢医学 湯本求真 著
  11. 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
  12. 類聚方広義 吉益東洞 著