日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。

初めての方から専門家まで参考になるよう、気味・帰経・効能・適応とする体質と処方例・民間療法をご紹介。

蝉退(センタイ)

セミの抜け殻のことです。セミの幼虫が地中を出て成虫となる時に脱皮した殻です。脱皮する時は地上に出て、多くは樹上に昇り樹上1~2尺のところで脱皮します。

これを木ゼミと称しこの抜け殻を乾燥すると茶褐色になり堅く且泥土を付着しているので薬用としては下品となります。

脱皮は1度だけでなく、1回脱皮した後は数日を経て3~5尺を上がり、再び脱皮し更に羽を生じて飛び去ります。

この脱皮物は前の脱皮物より柔らかく、また土も付着していないので、これを木ノボリといって薬用としては上品となります。

気味・薬味薬性

味は鹹・甘、性は寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・肝

効能

感冒性の頭痛や熱によって生じた痙攣を沈めたりします。

中耳炎やはしか、皮膚病でアレルギー反応を起こしたり化膿をおこしている毒を排除します。

適応とする体質と処方例

  • 慢性化した皮膚病に対し血行が悪く、熱気がし尿の出が不十分で皮膚に分泌物が多く口渇がある方に用います。処方例:消風散(ショウフウサン)

接骨木(セッコツボク)をご紹介

生薬-接骨木

ニワトコの葉を採取して日干しして薬用にし、または枝を薬用にします。

接骨木は骨折、切り傷の時に骨を接ぐ力を湧き出させ、筋肉の復活を早くします。

気味・薬味薬性

味は甘・苦、性は平

効能

打撲や挫傷などに良いです。

神経痛やリウマチの原因となる不良水分を利水します。

川骨(センコツ)をご紹介

生薬-川骨

コウホネの根茎を縦に割ったものです。

縦の断面が類白色のものは良品ですが、全体が黒変したものは薬用としてはよくありません。

効能

うっ血を散らして新血を導きます。

適応とする体質と処方例

  • 体力中程度の方に用い、打撲、捻挫による腫脹、疼痛がある方に用います。
  • 筋肉、腱、腱鞘などの疼痛が長期にわたり一般に打撲直後よりも、数日以上経った方に用います。処方例:治打撲一方(チダボクイッポウ)

赤小豆(セキショウズ)をご紹介

生薬-赤小豆

小豆やツルアズキの成熟した種子を用います。

ツルアズキは小豆に似ていて、ツルがあり主にインドや東アジアで栽培されています。

小豆は古くから食用としてアジアを中心に栽培されていますが日本がもっとも栽培量が多くなります。

小豆は世界中で日本人だけに好まれる特殊な存在で、小豆を米とともに炊いて赤飯や小豆粥にしたり、餡にして和菓子の原料として広く用いられています。

気味・薬味薬性

味は甘・酸、性は平

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心・小腸

効能

腎炎や脚気、栄養障害にみられる浮腫み、下痢、下血、黄疸に用います。

適応とする体質と処方例

  • 母乳の出が悪い時や、便秘や二日酔いに用います。処方例:赤小豆エキス(セキショウズエキス)

石決明(セッケツメイ)をご紹介

生薬-石決明

アワビの貝殻を石決明といいます。

また決明子(エビスグサ)を決明ともいいます。この決明を石決明と区別するために草決明という人もありますが、草決明はノゲイトウです。

吸水孔の九つある物が九孔螺と言い上品で、十個以上あるものは下品として用いません。

気味・薬味薬性

味は鹹、性は微寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

効能

副交感神経に効いて視力障害及び緑内障に用います。

肺結核の消耗熱に用います。

利尿として働きがあります。

参考文献・出典

  1. 漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 訳・著
  2. 近代漢方薬ハンドブック(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 高橋良忠 著
  3. 漢方のくすりの事典 鈴木洋 著
  4. 薬徴 吉益東洞 著
  5. 中薬大辞典 小学館
  6. 薬草カラー図鑑1~3 主婦の友社
  7. 平成薬証論 渡邊武 著
  8. 本草綱目 李時珍 著
  9. 医心方 食養篇 丹波康頼 著
  10. 中国の薬用菌類 劉波 著
  11. 薬草の詩 鹿児島県薬剤師会
  12. 和漢薬の良否鑑別法及び調整方 一色直太郎 著