菊花(キクカ)をご紹介

日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。

初めての方から専門家まで参考になるよう、気味・帰経・効能・適応とする体質と処方例・民間療法をご紹介。

菊花(キクカ)

リョウギク(甘菊)の花弁をとって薬用とします。

菊の花には数百種類ありますが甘菊が最良で、花弁は黄色で長いほどよく、甘みがあり微やかに苦味のあるものがよく、苦味のきついものはあまりよくありません。

品物が古くなったものは、働きが鈍くなるので新品を使うべきです。

野花はよくありません。

気味・薬味薬性

味は甘・苦、性は微寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・肝

効能

目に元気をつけます。

風邪をひいて熱っぽくなり、のぼせるタイプの頭痛や目が赤くなる、まぶたの腫れなどのある方に用います。

適応とする体質と処方例

  • 目がかすんだり、眩むまたは乾燥感や痛みに、頭痛や頭のふらつきを伴っている方に用います。処方例:杞菊地黄丸(コギクジオウガン)

橘皮(キッピ)をご紹介

生薬-橘皮

中国ではミカン科のオオベニミカンやコベニミカンなどいくつかの柑橘類の成熟果実の果皮を橘皮と言います。

一般的に橘皮の古くなったのを陳皮といいますが、中国ではあまり区別していません。日本でも橘皮ではなく陳皮が使われることが多いようです。

気味・薬味薬性

味は辛、性は温

効能

下記は、陳皮の効能と殆ど一緒となります。

アトニー性の健胃薬となります。

陳皮のもつ弱い辛味成分がアレルギー毒の発散に働きます。

適応とする体質と処方例

  • 脚気で下肢が腫れて息切れするものに用います。処方例:九味檳榔湯(クミビンロウトウ)

牛胆(ギュウタン)をご紹介

生薬-牛黄-牛胆

牛の濃縮胆汁を入れた胆嚢を日陰で乾燥させた物や、胆汁を高温にしないで濃縮し粘ちょうなエキスにした物など色々とあります。

牛胆より熊胆が勝ると言われていますが、熊胆はその数が少なくニセモノが出回っているため、最初から牛胆を使用する方が無難でしょう。

牛胆の代わりに豚の胆を使っても良いようです。

気味・薬味薬性

味は苦、性は寒

効能

苦味成分が消化を促進します。

肝臓によく効きます。肝の熱による目の充血や目ヤニに、よく効き外用薬としても使用できます。

心臓によく効きます。

適応とする体質と処方例

  • 疲労、虚弱体質、肝臓病・・・他

羗活・独活(キョウカツ・ドクカツ)をご紹介

生薬-羗活-独活

羗活と独活と同様です。両者の区別はまちまちですが、独活はシシウド、羗活はウドモドキの根となっています。

市販品では両者の区別をせず独活、羗活ともにシシウドの根の乾燥品です。

気味・薬味薬性

太陽堂漢薬局では、羗活は香りの強い部分を気剤として、独活は香りを少し落とし利水剤として使用します。

ウドは大木になるが、質は緻密ではありませんので、建築用資材になれずカサのみ大きくて間に合わぬ道楽息子に「ウドの大木」のことわざの元となっています。

伊吹山では「伊吹百草」と名づけた物を売っているが、これにはシシウドの地上部とヨモギが混じっている。昔は当帰やシシウドの根を用いていたのだろう。伊吹百草は、煎じて用いる薬湯料。神経痛やリウマチ 、冷え症に良いとある。

気味・薬味薬性

味は辛・苦、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

膀胱・腎

効能

皮膚で起こったアレルギー反応から生じた毒素を駆除する力があります。

内臓の強い人のアレルギーには麻黄を。内臓が虚弱の人のアレルギーには紫蘇葉を。この中間のアレルギーには羗活・独活を用います。

肝臓の亢進を鎮め、目の苦情をとり、腎臓に効いて浮腫みをとり利尿を促します。

適応とする体質と処方例

  • 胃や排尿器の働きが悪くて、体中に残っていた水分が原因で起こったアレルギー病で、筋肉リウマチ、痛風、関節炎、坐骨神経痛、下肢麻痺、腰痛、浮腫みの方。処方例:疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)

民間療法

  • 発汗・解熱・頭痛〔内服〕。乾燥した根20gを1日量として煎じ、3回に分けて服用する。
  • リウマチ・神経痛・冷え性に〔外用〕。乾燥した根300gを木綿の袋に詰めて、水のうちから入れて沸かし、この薬湯に全身をゆっくり浸して入浴する。

杏仁(キョウニン)をご紹介

生薬-杏仁

杏仁とはアンズの種子です。杏仁は扁圧した心臓型で先が尖っていて、底部は円味のある物で厚みの薄い皮をかぶり色は茶褐色です。

杏仁と桃仁は似ていますが、杏仁は小型で桃仁のように細長くなく、短く円味があって厚みがあります。脂肪分も桃仁より少なくなります。

杏仁と桃仁は共にバラ科の同属近縁植物ですが、漢方では杏仁は駆水剤で、桃仁は駆瘀血剤として繁用薬で使われています。

気味・薬味薬性

味は苦、性は温、小毒あり

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・大腸

効能

鎮咳剤です。杏仁に含有されているアミグダリンから分解された青酸で鎮咳の働きをなします。

利尿の働きがあります。喘息でまぶたのはれたものを治したり、急性の腎炎に用います。

副交感神経を優位にし弛緩による緩下を行います。

知覚神経末端を麻痺させ鎮痛させます。

適応とする体質と処方例

  • 自汗し、口渇、小便不利があって喘咳、のぼせ、煩悶のあるアレルギー性疾患のある方。処方例:麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
  • 老人や虚証の人の常習便秘に使用するものとして。処方例:麻子仁丸(マシニンガン)
  • 胸部の苦情が多い時、胸ぐるしい、胃の弱い者の喘息には茯苓と併用する。処方例:茯苓杏仁甘草湯(ブクリョウキョウニンカンゾウトウ) 、苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)

民間療法

  • 咳、痰(10g)〔内服〕アンズの種子の中の実(杏仁)を煎じて飲みます。
  • 外耳炎症〔外用〕杏仁をすりつぶし、ガーゼに包んで耳の中に入れておきます。
  • 乳腺炎〔外用〕杏仁をすりつぶし、黒砂糖で練り、貼ります。

参考文献・出典

  1. 漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 訳・著
  2. 近代漢方薬ハンドブック(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 高橋良忠 著
  3. 漢方のくすりの事典 鈴木洋 著
  4. 薬徴 吉益東洞 著
  5. 中薬大辞典 小学館
  6. 薬草カラー図鑑1~3 主婦の友社
  7. 平成薬証論 渡邊武 著
  8. 本草綱目 李時珍 著
  9. 医心方 食養篇 丹波康頼 著
  10. 中国の薬用菌類 劉波 著
  11. 薬草の詩 鹿児島県薬剤師会
  12. 和漢薬の良否鑑別法及び調整方 一色直太郎 著