牛膝(ゴシツ)をご紹介

日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。

初めての方から専門家まで参考になるよう、気味・帰経・効能・適応とする体質と処方例・民間療法をご紹介。

牛膝(ゴシツ)

牛膝はイノコヅチの根を乾燥したもので、イノコヅチの茎は牛の膝に似た節があるので牛膝の名を得ました。

イノコヅチは方々の山野に自生していますが、節が大きく茎が紫色で根が太くて長く、柔軟性があり、潤いのあるものほど効力があり、節が細く茎が青色で根の短いものは、なるべく避けたほうが良いとされています。

気味・薬味薬性

味は苦・酸、性は平

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肝・腎

効能

牛膝は、酒で修治した「製牛膝」を用います。

関節痛・打撲、神経痛・生理痛などの痛みを治す働きがあります。

応用として月経困難症や排尿障害、歯肉炎の治療薬となります。

子宮収縮を増強する働きがありますので、妊婦には禁忌です。

適応とする体質と処方例

  • 牛車腎気丸(ゴシャジンキガン) 、折衝飲(セッショウウイン)、芎帰調血飲第一加減(キュウキチョウケツインダイイチカゲン) 、疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)

呉茱萸(ゴシュユ)をご紹介

生薬-呉茱萸

呉茱萸は、呉の国に産するものを良しとするところから呉の名が付きました。

呉茱萸の果実を薬用に使いますが、果実になるべく軸のつかないものが良いとされています。

漢薬の選品に当って昔から六陳の説があります。六陳とは狼毒、呉茱萸、半夏 、陳皮 、枳実 、麻黄の六種は陳旧品(古いもの)が良いとされています。

そこで呉茱萸は採取してもすぐ使わずに、1年ほど経過したものを使用したり、熱湯で数回洗って苦い汁を取ってから使用したりします。あまり放っておくと辛味成分も無くなってしまうので、やはり1年位置いておくのが良いと言えます。

現在では三重、奈良、福岡の諸県で栽培されております。

気味・薬味薬性

味は辛・苦、性は大熱、小毒あり

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肝・脾・胃・腎

効能

虚寒による腹痛・脇痛・疝痛・嘔吐・頭痛 ・生理痛に頻用します。

多量に使用すると、喉の乾燥感が生じます。

民間では浴料として知られています。

呉茱萸の根は、回虫などの駆虫薬に用いられています。

適応とする体質と処方例

  • 胃アトニーで非生理的水分があり、胸が張って苦しく嘔吐、腹痛などの症状があり手足が冷える方に用います。処方例:当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
  • みぞおちが膨満して手足が冷える頭痛、吐き気、しゃっくりに用いられます。処方例:呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
  • 皮膚全体が枯燥ぎみで、口唇が乾燥し、手掌も乾燥して熱っぽいのに用います。処方例:温経湯(ウンケイトウ)

牛蒡・牛蒡子(ゴボウ・ゴボウシ)をご紹介

生薬-牛蒡

もともと日本にはゴボウの野生種はありませんでした。千数百年前に中国から渡来し日本で改良されて作物化しました。ゴボウの根は、日本独特の野菜で日本人以外は殆ど食べることがありません。

ヨーロッパの方では、新葉をサラダに入れて食べたりします。

種子には脂肪油の他、リグナン系苦味配糖体のアルクチンが含まれ、利尿作用や抗真菌作用等が知られています。

気味・薬味薬性

味は辛・苦、性は寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・胃

効能

扁桃炎や咳嗽、皮膚の化膿を鎮めます。

種は乾癬などの皮膚病に効きます。

適応とする体質と処方例

  • 湿潤性の赤みのある湿疹や掻痒のある方に用います。処方例:消風散(ショウフウサン)

民間療法

  • 腫れ物・喉の痛み・浮腫みに〔内服〕種子を粉末にして1日量8gを3回に分服。
  • 漢方では種子を悪実と呼び、腫れ物の薬にしています。煎汁をさかずき一杯飲めば、腫れ物の一つの口、二杯で二つの口が開いて治ると言い、疝気、中風の妙薬とも言われています。

黒胡麻(クロゴマ)をご紹介

生薬-黒胡麻

アフリカ大陸が原産とされ、世界各地で栽培されています。

胡麻は1年草で、成熟種子つまり食用にされる胡麻の乾燥したものを薬用として用います。

現在では中国が世界一の産地国となっており、中国では胡麻といわず芝麻あるいは脂麻と言います。

日本では奈良時代に栽培され食用や薬用、灯火用に使用されました。

胡麻は種子の色によって黒色の黒胡麻、白色の白胡麻、黄色の黄胡麻などがあり薬用には黒胡麻が用いられます。

気味・薬味薬性

味は甘、性は平

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・脾・肝・腎

効能

潤燥滑腸作用で、硬い便の便秘の方の通便をします。

栄養成分が豊富なため肝・腎の栄養となります。

適応とする体質と処方例

  • 老人性掻痒症などに用います。処方例:消風散(ショウフウサン)

五味子(ゴミシ)をご紹介

生薬-五味子

チョウセンゴミシの成熟した果実を乾燥したもの(色が黒い)で別名、北五味子(ホクゴミシ)とも言われています。

これに良く似たもの、また代用薬としてビナンカズラの果実(色が赤い)を使うときもありますがこれは南五味子(ミナミゴミシ)と呼ばれています。滋養、強壮、鎮咳力は五味子(北五味子)に劣りますが、ビナンカズラの成分の粘液質は昔は婦人の頭髪用に用いました。

五味子は酸、甘、辛、苦、鹹の5つの味をもっていますので五味子といわれています。

果皮および果肉は甘く酸ぱく、核は辛く苦く、全体的に鹹いものが良いとされています。

五味子は黒っぽいものを用いるが、分量が多いと飲みにくいので人によって減量します。

気味・薬味薬性

味は酸、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・腎

効能

気管支の機能が衰え咳き込みのきついものや、胃が悪く体内の不良水分が滞り咳があるものの鎮咳を行います。

収斂性去痰薬で、咳嗽が頻発し渇するものに用います。(通例、細辛を併用し、滋養強壮の効があります)

糖代謝を司る糖質コルチロイドの分泌に、また無機質コルチロイドにも関係しホルモン分泌の調整をします。

適応とする体質と処方例

  • 胃が比較的虚弱で腎の働きが悪いために、体内に非生理水分が溜まりこれが原因となって咳や浮腫みなどの利尿異常があるときに用います。処方例:苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)
  • その他の配合処方例。小青竜湯(ショウセイリュウトウ) 、清暑益気湯(セイショウエッキトウ) 、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ) 、清肺湯(セイハイトウ)

民間療法

  • 滋養強壮・疲労回復〔内服〕五味子酒を飲む。五味子300g、グラニュー糖300gをホワイトリカー1.8Lに漬け、2ヶ月後にこして出来上がり。1日30ccを限度に就寝前に飲む。

参考文献・出典

  1. 漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 訳・著
  2. 近代漢方薬ハンドブック(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 高橋良忠 著
  3. 漢方のくすりの事典 鈴木洋 著
  4. 薬徴 吉益東洞 著
  5. 中薬大辞典 小学館
  6. 薬草カラー図鑑1~3 主婦の友社
  7. 平成薬証論 渡邊武 著
  8. 本草綱目 李時珍 著
  9. 医心方 食養篇 丹波康頼 著
  10. 中国の薬用菌類 劉波 著
  11. 薬草の詩 鹿児島県薬剤師会
  12. 和漢薬の良否鑑別法及び調整方 一色直太郎 著