日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。

初めての方から専門家まで参考になるよう、気味・帰経・効能・適応とする体質と処方例・民間療法をご紹介。

大腹皮(ダイフクヒ)

マレー半島原産のヤシ科のビンロウジュの成熟果皮を乾燥したものです。種子は檳榔子(ビンロウシ)と言います。

日本には奈良時代に薬用や染料の目的で輸入されたという記録があります。

毒性を取り去る為、原植物を採取して濃い酒に浸し洗います。次に黒豆の煎汁に浸し洗い、日乾しした後に用います。

気味・薬味薬性

味は辛、性は微温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

脾・胃・大腸・小腸

効能

消化不良、下痢、心下部の脹満感に用います。(応用として夏の急性胃腸炎)

気の滞りを巡らせ、みぞおちの痞え、胸や腹が張って苦しく、大便や尿が出難いなどにも用います。

適応とする体質と処方例

  • 嘔吐や下痢があり頭痛 ・悪寒・発熱がある夏負け、急性胃腸炎がある方などに用います。処方例:藿香正気湯(カッコウショウキサン)

沢瀉(タクシャ)をご紹介

生薬-澤瀉

沢瀉は、サジオモダカの塊茎についている細い根だとか、茎葉を除いたものです。

沢瀉の沢はサワすなわち水を意味し、瀉は注ぐという意味で、2つ合わせて水を流し出してしまうという意味となります。沢瀉は体内に滞っている不良の水を体外に排出させる力が強いのでこの名前を得たようです。

サジオモダカは、水辺に繁殖するのでクワイ様の植物ですが、葉がサジのような形をしているので、サジオモダカと言われています。

水生植物は水を吸収して繁殖するので働きも水に関係し、利水作用の有るものが多いと言われています。

沢瀉はよく肥大し、質が重く、充実し、内外共に白色のものが良いとされています。

気味・薬味薬性

味は甘、性は寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

腎・膀胱

効能

軽い刺激作用で、胃と腎を活発にし水分を排出します。ただし猪苓 、滑石と比べると利水の力は弱くなります。

利水剤で、とりわけ尿利の減少または頻数、胃内停水、冒眩、口渇に用います。

陽虚証で、水毒を利尿によって駆出するのに有効でその薬能は。猪苓、茯苓に類似しとりわけ冒眩(碗をかぶったような感じ)に著効があります。

適応とする体質と処方例

  • 心臓不全のために、肺に血液がうっ血し、その影響で胃などにもうっ血を生じ、眩暈など起こしている方に用います。処方例:沢瀉湯(タクシャトウ)
  • その他の配合処方例:当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、五苓散(ゴレイサン)、半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)

丹参(タンジン)をご紹介

生薬-丹參

タンジンの根を用います。赤参と丹参があり、これらは根が赤いことに由来します。

この色の根には、フェナンスラキノン系の色素であるタンノシンⅠ、タンノシンⅡ、クリプトタンノシンなどが含まれており、中国では単味の錠剤や注射薬など幅広く用いられています。

気味・薬味薬性

味は苦、性は微寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心・心包

効能

生理不順、月経困難症、産後の腹痛などの婦人科疾患に用います。

乳腺腫脹、リウマチ、神経衰弱などに用います。

適応とする体質と処方例

  • 心臓部の疼痛、激痛、胸骨部の圧迫感、胸苦しいなどの症状のある方に用います。処方例:冠心二号方(カンシンニゴウホウ)

淡豆豉(タントウシ)をご紹介

生薬-大豆-淡豆豉

ダイズの種子を蒸して発酵させたものを乾燥させて用います。

日本では豆豉と呼びますが中国では淡豆豉あるいは香豉、淡豉などとも呼ばれています。

塩を加えていないものを淡豉と言い、かつて醤油や味噌よりも古い調味料として利用されていました。

気味・薬味薬性

味は苦、性は寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・胃

効能

熱性疾患や熱病後の不眠、煩躁などに用います。

軽い風寒型の感冒なので発熱、悪寒、頭痛がみられる時に用います。

適応とする体質と処方例

  • 症状として、熱感、或いは僅かな悪寒、発熱、頭痛、咽痛、無汗、或いは汗ばむ、軽度の口渇などがあります。目の充血、咳嗽などを伴う事もあります。処方例:銀翹散(ギンギョウサン)

大蒜(タイサン)をご紹介

生薬-大蒜

大蒜は、オウニンニク、またはニンニクの中にある鱗茎です。

和名の「にんにく」は仏教後の忍辱から来ています。強烈なにおいに耐え忍ぶことを意味するようです。

気味・薬味薬性

味は辛、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

胃・大腸

効能

化膿したオデキや、地腫れしたオデキに外用薬として用います。

お灸の補助として用います。

腸の働きが衰えて下痢する状態に用います。

臓器を働かせて新陳代謝を活発にします。

参考文献・出典

  1. 漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 訳・著
  2. 近代漢方薬ハンドブック(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 高橋良忠 著
  3. 漢方のくすりの事典 鈴木洋 著
  4. 薬徴 吉益東洞 著
  5. 中薬大辞典 小学館
  6. 薬草カラー図鑑1~3 主婦の友社
  7. 平成薬証論 渡邊武 著
  8. 本草綱目 李時珍 著
  9. 医心方 食養篇 丹波康頼 著
  10. 中国の薬用菌類 劉波 著
  11. 薬草の詩 鹿児島県薬剤師会
  12. 和漢薬の良否鑑別法及び調整方 一色直太郎 著