カテゴリー: 不妊症

  • 経血の塊はなかったです

    写真は、熊本県、阿蘇山です。

    卵管狭窄症の漢方薬服用前は。漢方改善例

    患者さんから改善のお声。順次掲載。論文、改善例のご案内はこちら

    生理痛の痛み止めは飲みませんでした

    女性35歳

    経血の塊はなかったです。月経量の変化もありません。

    生理痛の痛み止めは飲みませんでした。基礎体温の波形も綺麗になってきています。

    2025年4月25日

    気血水の巡りを良くします。太陽堂漢薬局から

    お薬が合っているようで良かったです。漢方薬は気血水の巡りを良くしますので、身体全体の調子が整ってくると思います。6合に到達するようこのまま頑張りましょう。

    食養生としては、高温期は特に油物を控えて緑の野菜を多く摂る事が大切です。生野菜も良いですが、アクのあるものは火を通して召し上がって下さい。小松菜や春菊、ホウレン草など緑の濃い野菜が良いですね。体を冷やさないようにお過ごし下さい。

    春は少し早起きをし、ゆったりした服装で活動的に過ごすのが良いと言われています。外に出かける際は首の後ろの大椎から、風邪が入らないよう、ストールや帽子などをすると良いです。

    卵管狭窄症の漢方薬で生理前の不具合がなくなり

    女性38歳

    卵管狭窄症の漢方薬服用前は生理時に痛みなどの不具合がありました。生理前にイライラなどもありました。服用後はそういったことが無くなってきました。

    2026年1月20日

    リノール酸を控えたほうが良いです。太陽堂漢薬局から

    漢方薬の服用を頑張られていますね。体質が改善され、少しずつ変化が出てくる時期になってきています。

    ご養生をしっかりしていただく事で改善が早くなります。以前、油ものや砂糖の摂りすぎは良くないお話をさせていただきました。油の中でも、特にリノール酸を含む食品を控えられたほうが良いです。

    リノール酸は、皮膚疾患に対してもとても相性が悪い食材です。菓子、パン、マヨネーズ、カップ麺、総菜など加工食品やファーストフードに多く含まれています。お食事の際、これらを意識してくださいね。

  • 病院で胎嚢が確認できました

    写真は、宮崎県日南海岸、鵜戸神宮です。

    不妊症治療を経て妊娠陽性反応。漢方改善例

    患者さんから改善のお声。順次掲載。論文、改善例のご案内はこちら

    最短の日付にしていただけると助かります

    女性33歳

    いつもお世話になっております。先日はお電話いただきありがとうございました。今日、病院でとりあえず胎嚢が確認できましたので、漢方の追加注文をさせていただければと思います。

    あと数日分しかないので、配達日は最短の日付にしていただけると助かります。

    2021年12月9日

    妊娠後期の早産も防止します。太陽堂漢薬局から

    胎嚢が確認出来たのですね。おめでとうございます。ご夫婦の夢です。大切に育てて下さいね。漢方薬は、安胎薬としてお手持ちの粉薬を1日3回。カプセル剤を1日1回お飲み下さい。

    粉薬は、母乳の出が良くなる。奇形の予防。産後の肥立ちが良い。出産の時の母体の負担が軽くなる。子供さんがスクスク大きく育つ。などの働きがあります。妊娠後期の早産も防止しますので、出来ればご出産まで継続される事をお勧めします。

    安定期を過ぎましたら1日分量が減るかもしれません。今はくれぐれもご無理されないようお過ごし下さいね。妊娠初期のご養生をまとめた用紙を同封しました。よろしければご参考にされて下さいね。

    不妊治療の凍結肺移植1回目の判定で陽性

    女性34歳

    昨日、凍結胚移植1回目の判定日で陽性でした。安胎薬をお願いしたいなと思ったのですが、まだ早いでしょうか。

    2023年3月25日

    妊娠陽性反応が出たのですね。太陽堂漢薬局から

    妊娠陽性反応が出たのですね。凍結胚移植へ踏み切られるのも勇気がいったと思います。1回目の判定で陽性反応が出て嬉しいですね。

    安胎薬は、胎児を守り、妊娠中のトラブルを防ぎます。早めに飲まれると良いと思いますよ。ご養生としまして、妊娠4ヶ月までは、筋肉の収縮することは避けたほうが良いです。長時間の車での移動、ハイヒール、背伸びなど。ご無理をなさらないようお過ごし下さいね。

    食養生としまして、駆瘀血作用のあるイカ、散の働きのある唐辛子、コショウ、カレーなどの香辛料、降の働きのあるナッツなどの実のもの、ニガウリ、なすび、コーヒーなどは控えめにされて下さい。その他にも苦みやアクのあるものは血流が低下し、子宮を収縮させます。お気をつけ下さいね。

    また、妊娠中に砂糖類を摂り過ぎると赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になりやすいと言われています。お砂糖も極力控えめにされて下さいね。

  • 卵管狭窄が改善し赤ちゃんを授かった女性

    写真は、中国雲南省大理市の築1000年の崇聖寺三塔です。

    卵管狭窄、原因不明の不妊症。かけ橋掲載分

    太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。論文、改善例のご案内はこちら

    卵管狭窄から妊娠

    1982年生、女性

    卵管は、精子や卵子、受精卵の通り道となる重要な部分であるが、炎症等の影響で狭くなったり、詰まってしまう事がある。

    西洋医学では、

    1. 体外受精
    2. バルーンを膨らませ卵管を広げる手術FTを薦められる。

    しかし、手術では原因を取り除く訳ではない為、術後1年で再発をしやすい。今回相談に来られた患者さんも同様で、FT半年で卵管狭窄を再発している。このままでは妊娠できないと言う不安から来局された。

    東洋医学的に卵管狭窄、閉塞は、瘀血、血滞の滞りと水毒、水の滞りが原因であると考える。

    糸練功では、六君子湯証と甲字湯証を確認した。水毒を去る働きのある六君子湯をベースに、炎症の原因を駆瘀血剤である太陽堂オリジナルの漢方を用いて卵管狭窄の改善に取り組む。また同時に赤ちゃんの為の苗床作り、妊娠しやすい体質もしていく。養生としては、疲労、ストレスを避けて、細胞やホルモンの原料となるタンパク質を摂る事、脂肪分の少ない魚介類、味噌、水溶性繊維質を積極的に食して頂く様伝えた。

    服用開始から4か月後、卵管検査で狭窄が解消したと嬉しい報告を受けた。その後、赤ちゃんを授かり現在安定期に入られた。

    卵管狭窄、閉塞は漢方治療の有効例が非常に多い。手術で再発を繰り返す方は、一度漢方薬を試して頂きたい。

    病名がつかない病は、東洋医学が強い

    1995年生、女性

    不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊しないで性交渉を行っているにも関わらず一定期間(1年以上)妊娠しない場合、不妊症と診断される。相談に来た女性は、約2年ほどタイミングを取っていたが妊娠に至らなかった。また産婦人科では異常所見は見当たらず、漢方に頼りたいと相談に来られた。

    基礎体温表をみせていただくと、生理前に基礎体温が下がり始め、生理後に基礎体温が上がっていた。 糸練功と問診、基礎体温により人参当芍散証を確認した。また細胞内のミトコンドリアを活性化させ代謝を活発にする働きのある補助剤をお出しした。食事では、鶏肉や豚肉、ニンニクなど力をつける食事と浄化作用のある緑の濃い野菜をお勧めした。

    服用から1ヶ月後、半夏厚朴湯証を捉えた。甲状腺機能低下が疑われるため人参当芍散に半夏厚朴湯を合わせて服用頂いた。

    それから3か月後、無事に妊娠したと嬉しいご報告を頂いた。

    不妊の原因は様々あるが、西洋医学的な原因がハッキリしている場合はその治療を行う事で妊娠へのアプローチはできる。しかし近年は原因不明が増え、西洋医学的治療は非常に難しくなっているようだ。甲状腺機能低下と不妊との関連についても様々な報告があるが、この女性の場合は、東洋医学の証立てが上手いき、早い段階で妊娠に辿り着いた。

  • 自分の身体を信じて自然妊娠された女性

    不妊症、卵管狭窄、多嚢胞性卵巣症候群。かけ橋掲載分

    太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。論文、改善例のご案内はこちら

    自然妊娠された女性

    1979年生、女性

    以前不妊症で漢方薬をお出ししていた女性から連絡を受けた。女性は多嚢胞性卵巣症候群、pcosと診断され、病院では自力での妊娠は不可能だと言われていた。

    多嚢胞性卵巣症候群とは、一般的に卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患である。月経周期が不規則になる等、卵巣内の男性ホルモンが過剰になる事が原因だと考えられている。一人目は、当薬局の漢方薬と病院での体外受精で無事に妊娠出産をされた。

    病院では体外受精を勧められた

    産後二年が過ぎ二人目を希望していると相談を受けた。やはり病院では、体外受精を勧められたようだ。当薬局では、漢方薬で改善された疾患は、二度と同じ病にはならない。仮になったとしても漢方薬を服用する事で改善が早いと言う事をお知らせしてきた。二人目不妊に対して女性には、食養生だけお伝えし、漢方薬の服用を勧める事はしなかった。その後数か月で自然妊娠が出来たと報告を受けた。

    漢方薬の素晴らしさを改めて感じた。やはり人間の身体には自然治癒力があり、その手伝いを漢方薬が担っていると感じた。服用期間が長くなると諦めてしまう方もいるが、自分の身体と漢方薬を信じて最後まで服用を続けて欲しいと切に思った症例であった。

    多嚢胞性卵巣症候群を乗り越え出産

    1990年生、女性

    病院で卵管狭窄と多嚢胞性卵巣症候群による不妊であると診断された女性から相談を受けた。ご婦人は、すでに6回以上の人工授精と体外受精をしてきたが、成果が現れないとの事。

    多嚢胞性卵巣症候群とは西洋医学では、一般的に卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患であり、卵巣内の男性ホルモンが高い事が原因と考えられている。本来基礎体温は高温期と低温期が二層に綺麗に分かれているのが理想だが、相談者の基礎体温は明確な差がなかった。

    基礎体温が2層に分かれ始めた

    問診と糸練功にて当帰芍薬散証を捉えた。補助剤にはミトコンドリアの機能を改善する馬心筋エキスをお出しした。また養生として生活疲労を減らし、細胞やホルモンの原料となるタンパク質を摂るように勧めた。服用から3ヶ月頃から不安定ではあるが、基礎体温が2層に分かれ始めた。当帰芍薬散から免疫に働きかける処方に変更し、さらに8ヶ月服用し妊娠された。

    東洋医学で降の働きのあるナッツ類、瘀血を取り除くイカや青汁等を控えめにして頂くよう妊娠中の養生をお伝えした。新型コロナウィルスの蔓延で不安な日々を過ごされていたが、無事に出産したとの嬉しい報告を受けた。

    漢方薬と養生で体質改善が進み無事出産

    1990年生、女性

    4年前より病院と鍼灸などで不妊治療を行っているが、なかなか妊娠が出来ず悩んでいると女性から相談を受けた。女性は、子宮内膜症の一つであるチョコレート嚢胞があり、生理痛も酷く辛いとの事。6ヶ月後に体外受精を予定しており、その為の身体作りを希望されている。

    問診と糸錬功により標治部に桃核承気湯証、本治部に当帰芍薬散証を捉えた。養生として、疲労を避け細胞やホルモンの原料となるたんぱく質を摂取する事。油脂物やパン、麺等を控え目にする事を伝えた。

    服用から5ヶ月後

    エコー検査で嚢胞が小さくなっていたと嬉しいご報告。

    服用6ヶ月目からは

    妊娠へ向けて舵を切り直し、当帰散と当帰建中湯を服用頂いた。身体を冷やす苦い物、アクのある食材。ゴーヤ、ナスビ、ホウレン草等は控えめにする。反対に身体を温める発酵食品。味噌、ヨーグルト、紅茶等をお勧めした。

    病院では反復着床不全であると言われていたが、4ヶ月服用後妊娠された。安定期に入るまでは安胎薬を服用頂き無事に男の子を出産された。産後の体調の戻りも早く、漢方薬での体質改善が良かったと喜ばれた。

    重い疾患を乗り越え無事出産

    1988年生、女性

    2年程自然妊娠を試みているが、中々妊娠しないという女性から相談を受けた。不妊検査では夫婦共に悪くないとの事。問診や糸練功により、瘀血と血虚のバランスが崩れている状態だと思われた。最初はこのバランスを正常化するよう漢方薬をお組みしてお出ししていた。

    ところがその半年後病院にて、一部、子宮頸癌に進行している子宮頸部高度異形成と診断。医師からは外科的切除を勧められた。外科処置を行うと、妊娠は可能だが早産や感染症のリスクがある。悩まれた末、外科的切除を選択された。

    不妊の漢方薬を再開

    太陽堂漢薬局からは、腫瘍と戦う力を高め再発防止を防ぐ4種類の漢方薬をお出しした。手術後約1年が経過し体調も良好であったため、この時から減薬を開始、同時に不妊の漢方薬を再開した。それから4ヶ月経つ頃に癌の漢方薬が治療終了となり、不妊に専念するようになった。

    不妊治療に専念するようになってから2年が経過した。漢方薬をずっと継続されながら、初めて妊娠したとの報告を受けた。漢方薬を安胎薬に切り替え、その後無事出産された。振り返ると相談を受けてから出産まで4年に渡って、病気や体質と向き合われての出産であった。

    不妊については、晩婚化、食の欧米化などに伴い、悩まれている方が増えている様に感じる。また社会や家庭環境が複雑化して来ており、色々な判断が非常に難しい時代だとも思う。どうか後悔の無い選択をして欲しく思うと同時に、その一助を担うべく今後も研鑽に励む。

  • 卵管閉塞に対する六君子湯と駆瘀血剤の効果

    卵管の障害。漢方研究会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    卵管狭窄、卵管閉塞。

    2006年11月伝統漢方研究会第3回全国大会。日本、横浜シンポジア

    白井一矢。福岡県福岡市、太陽堂漢薬局

    諸言

    ここ数年急激に増加している不妊症。現在では卵管の障害が主な原因となる不妊症は全体のおよそ30パーセントになるといわれている。卵管狭窄、閉塞の原因は様々である。西洋医学での治療法は卵管の通水、通気治療や腹腔鏡と卵管鏡を組み合わせた卵管疎通術などが一般的である。また、それが主となる不妊症の場合、自然妊娠は難しく体外受精や胚移植法が有効とされている。

    理論的に考えて、機能的症状に有効とされている漢方薬が卵管狭窄、閉塞などの器質的疾患を改善することは不可能と考えることが一般的であろう。しかし今回卵管狭窄などについて六君子湯と駆瘀血剤が有効であった不妊例を経験したので報告する。

    六君子湯については先に報告があった太陽堂漢薬局木下順一朗発表の卵管狭窄に対する六君子湯の効果。2002年10月中華中医学会中日中医方薬応用学術検討会。中国、北京の追試となった。

    対象と方法

    全例西洋医学的検査により卵管狭窄、卵管閉塞症と確認診断され、西洋医学的な治療を行うも改善されず、卵管が通じないことで妊娠に至っていない例を対象とした。

    望診、問診により脾虚や瘀血を確認した例も有るが、それらを明確に確認出来ない例も有った。太陽堂漢薬局木下順一朗開発、漢方の四診の一つの異形である糸練功で調べ、その結果をもとに漢方薬を選び治療した。

    症例1、40歳女性

    主訴。卵管狭窄による不妊症

    現病歴。卵管造影検査を受け卵管が狭く、病院の医師から自然妊娠は難しく、体外受精をすすめられたとのこと。それ以外の検査はしてない。以前二ヶ月通院してタイミング法を指導されたが、余計にストレスがたまって落ち込んだりするので通院を止めたとのこと。基礎体温は高低温に分かれていたが、ストレスにより一時的に不安定となる。相談当初はまた正常に戻りつつある状態。ただ高温期が11日から12日で少し短い。体外受精じゃなく自然妊娠を希望していた。

    現症。身長150センチ、体重48キロ、最高血圧100、最低血圧60。水分摂取少ない、発汗多い、寝汗あり、飲酒は月に2、3回、冷えは手足のみ、食欲普通、胃痛あり、便通硬め、便秘薬なし、睡眠普通、動悸なし、生理痛あり鎮痛剤服用なし、生理周期26日、生理期間5日間

    1. 卵管部の脾虚。臓腑病、脾、陰証、1合、2プラス、適応薬方。六君子湯、スクアレン
    2. 卵管部の瘀血。臓腑病、肺、陽証、0.5合、2プラス、適応薬方。甲字湯加黄芩紅花、填南仙
    3. 妊娠しにくい。臓腑病、胆、陰証、0合、3プラス、適応薬方。当帰散
    2005年9月3日

    初回の糸練功は上記の通り。六君子湯5グラム、填南仙1錠、当帰散3.5グラムを投薬した。

    2005年9月30日

    2.2合、2プラス。1.5合、2プラス。1.2合、3プラス。冷え症が改善してきた。低温期と高温期の差が明確となってきた。薬方は同量を投薬。

    2005年11月1日

    3.1合、2プラス。2.5合、2プラス。2.4合、3プラス。月経痛が軽くなったとのこと。薬方は同量を投薬。

    2006年3月1日

    3.6合、1プラス。3.2合、2プラス。4合、2プラス。排卵もあまり遅れることなく、基礎体温のバラつきも少なくなり、低温期から高温期への移行がスムーズになってきたとのこと。薬方は同量。

    2006年3月28日

    病院にて妊娠が確認された。妊娠の安定。臓腑病、肝、陰証、0.7合、3プラス、当帰散。今回から安胎薬として当帰散6グラムのみを投薬。

    2006年4月28日

    2合、2プラス。悪阻はあるがそれ程ひどくはない。薬方は同量を投薬。

    2006年7月28日

    4.8合、2プラス。妊娠5ヶ月弱。検診も順調とのこと。当帰散は廃薬。病院の医師からは卵管狭窄の為、自然妊娠は難しいといわれていたが、上記の漢方薬を服用することによって月経痛の軽減や低温期から高温期への移行がスムーズとなり、服用開始から7ヶ月で自然妊娠に至った。

    症例2、27歳女性

    主訴。卵管狭窄、卵管部分の癒着による不妊症

    現病歴。卵管狭窄と癒着がある。他には生理痛、腰痛、頭痛、生理の1週間前から立ち眩み、鼻づまり、主に右の首、肩こり、胃痛などがある。現症。身長159センチ、体重50キログラム、口渇、水分摂取多い、小便多い、飲酒はほとんどなし、冷えのぼせあり、足ののみ冷え、食欲普通、胃痛、胸焼けあり、便通硬め、便秘薬なし、睡眠普通、時々動悸、生理痛あり鎮痛剤使用、生理周期26日、生理期間7日間

    治療経過

    1. 卵管部の脾虚。臓腑病、脾、陰証、0.5合、2プラス、適応薬方。六君子湯、スクアレン
    2. 卵管部の瘀血。臓腑病、大腸、陽証、0合、2プラス、適応薬方。甲字湯加黄芩紅花、填南仙
    2006年4月8日

    初回の糸練功は上記の通り。六君子湯5グラム、スクアレン3カプセル、填南仙2錠、をそれぞれ投薬。

    2006年5月6日

    1.7合、2プラス。1合、2プラス。基礎体温が前周期と比べて今周期の高温期が上がったとのこと。悪い症状は特に出ていないとのこと。薬方は同量を投薬。

    2006年6月6日

    2.7合、2プラス。1.8合、1プラス。生理痛が酷く、排卵も3、4日ほど遅れたとのこと。薬方は同量を投薬。

    2006年7月7日

    2.7合、1プラス。2.8合、2プラス。生理痛は前回の痛みに比べて痛みが和らいだとのこと。少しだが歩くようにしているとのこと。以前は生理周期が26日であったが、28日になったとのこと。少し良くなったと実感しているとのこと。薬方は同量を投薬。

    2006年9月12日

    3.5合、1プラス。3.7合、2プラス。病院へ行き卵管造影と通気を薦められ検査をした結果、受精には問題ないくらいの癒着で卵管は綺麗に通ったとのこと。今後人工授精にステップアップする予定。スクアレンは金銭的に今回から休止。その他の薬方は同量を投薬。報告時点も服用を続けています。

    病院では卵管狭窄、さらに卵管部の癒着という診断であった。しかし、上記漢方薬を服用するようになり、基礎体温表や体調などが徐々に改善していくのが実感できている様子であった。服用開始から5ヶ月で糸練功の合数は決して高くないが、病院の検査で卵管は綺麗に通っていて、癒着に関しても受精には問題ないとのことであった。

    症例3、31歳女性

    主訴。卵管狭窄による不妊症

    現病歴。卵管造影検査を受けて卵管狭窄が発覚。去年春に5週目で流産してから、なかなか妊娠しないため検査をして分かったとのこと。閉塞はない。今後、通水検査を受ける予定。子宮に問題はなし。

    現症。身長169センチメートル、体重55キロg、最高血圧100、最低血圧60。飲酒は月2、3回、冷えのぼせ、足のみ冷え、食欲普通、便通普通、便秘薬なし、睡眠普通、動悸時々あり、生理痛あり、生理周期30日、生理期間7日間

    治療経過

    1. 卵管部の脾虚。臓腑病、脾、陰証、0.4合、3プラス、適応薬方。六君子湯、スクアレン
    2. 卵管部の瘀血。臓腑病、大腸、陽証、0.8合、3プラス、適応薬方。甲字湯加黄芩紅花、填南仙
    3. 冷え症。臓腑病、胆、陽証、1.5合、2プラス、適応薬方。温経湯
    2006年5月6日

    初回の糸練功は上記の通り。六君子湯6グラム、填南仙1錠、温経湯5グラムをそれぞれ投薬。

    2006年6月1日

    1.3合、2プラス。1.7合、3プラス。2.6合、2プラス。冷え症が少しましになったとのこと。薬方は同量を投薬。

    2006年6月27日

    卵管造影検査で極端に結果が良く、正常とのこと。さらにその後尿検査で妊娠反応陽性。安胎。臓腑病、肝、陰証、1.2合、3プラス。適応薬方、当帰散。今回から安胎薬として当帰散6グラムのみを投薬。

    2006年7月19日

    心拍も確認でき、妊娠7週半ばで順調とのこと。漢方薬は継続。

    2006年8月15日

    妊娠10週6日目で順調。報告時点も服用を続けています。漢方薬を服用することによってわずか2ヶ月間で卵管造影の検査結果が非常に良くなり、その後自然妊娠に至りました。著効例といっていいと思います。

    結果

    今回報告した3例を含め、西洋医学的治療が無効だった卵管狭窄であっても、主に六君子湯と駆瘀血剤で卵管が通じる事が多い。また、短期間で卵管の状態が良好にもなったことからこれらの漢方薬が有効であったといえる。

    考察、結論

    卵管狭窄、閉塞に六君子湯と駆瘀血剤がなぜ有効であったのかを卵管狭窄、閉塞の原因から考察する。

    卵管狭窄、閉塞の主な原因
    1. 各種炎症。卵管炎、卵巣炎、子宮付属炎、骨盤腹膜炎、腹腔内感染による卵管周囲の炎症など
    2. 癒着。卵管、卵管采、卵巣またはその周辺の癒着など
    3. 感染症STD。STDの後遺症。特に性クラミジア感染症の後遺症

    上記三つが主な原因として挙げられる。卵管炎など各炎症は流産や人工妊娠中絶、出産、セックスなどによって膣から細菌やクラミジアなどが入り込み、病原体が子宮頚管から卵管などに感染して炎症が起こる疾患です。起炎菌は大腸菌、淋菌、クラミジア、トラコマチスがあり、その多くはクラミジアです。

    また癒着は生体の防御反応であり、これらは主に炎症によって引き起こされます。つまり、興味深いことに実は炎症、癒着は主に感染症よって引き起こされることがわかっています。感染症の中でも特に性器クラミジア感染症は、日本のみならず世界中に蔓延している最も患者数の多い性感染症です。さらにクラミジアはほとんど自覚症状がないために感染は急速に拡大し、最も頻繁に見られる性感染症です。

    女性の場合は膣内に排出された精液中に含まれるクラミジアが子宮頸管上皮細胞に感染することから始まります。子宮頸管炎が発症してもほとんど自覚症状がないために放置されることが多く、子宮内腔、卵管内、腹腔内へと感染が拡大していきます。そうすることで①の各種炎症を引き起こし、次いで卵管狭窄症、卵管閉鎖症、卵管周囲癒着症などを招きます。

    ここ数年卵管障害による不妊症は増加傾向にあります。先程述べた内容や上にあるグラフを参考にするとその増加傾向と性クラミジア感染症はかなり深い関係があるものと考えられます。また、さらに今後も増加していくことが予想されます。

    次に炎症や癒着を東洋医学の観点で整理していきます。体の至るところで起こる各種の炎症は、東洋医学において湿、湿熱を含む、瘀血、血熱、瘀血以外の血毒を原因とするの三つにおおむね分類して捉えることができる。複合する場合もあり。癒着は脾で捉えることができる。脾は肌肉を司り、桂枝加芍薬湯等が適応となる。

    つまり、クラミジア感染後やそれ以外でも引き起こされる炎症や癒着は脾や瘀血と深い関係があることがわかります。

    六君子湯は人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、甘草、大棗、生姜で構成され、四君子湯と二陳湯の一部の両方意を持っていると思われる。ゆえに六君子湯は水毒、湿を取り除き、湿熱は白朮、茯苓、半夏、陳皮で対応できる。更に脾を補うことによって排卵された卵を卵管内に取り込むことや卵管の蠕動運動を促進させることによって卵の輸送をスムーズにすると考えられます。

    また駆瘀血剤は特に甲字湯関係が多いと思われますが、そのほとんどが甲字湯加黄黄芩、甲字湯加黄芩紅花だと思われます。つまり、これらの薬方は瘀血に対してだけではなく、黄芩による血熱の改善も関係すると思われます。尚、甲字湯加黄芩や甲字湯加黄芩紅花は代用として填南仙或いは填南仙合紫丹精で十分な効果を得られると考えられます。

    癒着に関しては実際に開腹手術をしないと、それがどの程度なのか把握できません。ですから、本来なら実際にどの程度改善したのかもわかりません。しかし、病院の医師からの癒着の改善が示されている事などから、少なくとも上記で記した漢方薬の有効性はあると考えることができます。

    これらを踏まえると卵管狭窄、閉塞による不妊症には六君子湯と駆瘀血剤を組み合わせることが非常に有効と考えられます。また、機能的症状に有効とされている漢方薬が卵管狭窄、閉塞などの器質的疾患を改善することは不可能と考えることが一般的でありますが、卵管狭窄、閉塞の原因を捉えることで実際には漢方薬が十分有効であると推察できます。

    今後はこれらの考察をより実践的や理論的に検討していく必要性があります。また、卵管狭窄、閉塞による不妊症が増加するという観点においても、これら以外の証の有無を調べていく必要があると考えられます。

  • 当帰散における妊娠の可能性

    当帰散で妊娠。漢方研究会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    妊娠

    2004年11月伝統漢方研究会第1回全国大会。日本、兵庫県淡路夢舞台国際会議場

    木下順一朗。福岡県、太陽堂漢薬局

    諸言

    子供を希望し、通常の性生活を送りながら2年以上経過しても妊娠しない夫婦が、不妊症と診断される。

    近年、女性の社会進出が進む中で晩婚化や出産の高年齢化により不妊症に悩む方が増えている。そんな中で人工授精や体外受精などの治療、ホルモン剤による治療を受けても妊娠に至らない方、ホルモン、基礎体温上は何の問題もない方の不妊が増えているのが現状である。

    今回、不妊患者3例に対して当帰散を投与し、著効を得たので報告する。

    症例1。33歳、女性、164センチ、41キログラム

    主訴。不妊症。現在治療はしていないが不妊歴は8年弱になる。切羽詰った思いではないがやはり1日も早く赤ちゃんを抱きたいと思っている。

    既往歴。慢性食道炎と逆流性食道炎

    現病歴。2度の子宮外妊娠。1度目で左卵管、卵巣一部切除。

    1999年5月から2001年10月まで5回の体外受精をした。2回目で陽性反応出るが科学的流産。2000年12月子宮外妊娠で左卵管、卵巣一部切除。2002年9月2回目の子宮外妊娠。卵管、卵巣共に無事。両方とも自然妊娠。その後、時々左に卵巣脳腫ができるようになったが去年10月頃より再発してないと思われる。

    現在は他の薬局で不妊の為の漢方。半夏、麦門冬、当帰、川芎、芍薬、人参、桂皮、牡丹皮、甘草、呉茱萸、阿膠を飲んでいるが一向に効果が表れない。

    現症。身長164センチ、体重41キログラム、最高血圧100、最低血圧60。顏色貧血色、冷え性手足のみ、寝汗あり、睡眠一度覚めると眠れない、生理順調、生理痛ほとんどなし、生理周期不明、生理期間8日。治療経過。初回糸練功で調べたところ、不妊症。臓腑病、胆腑、陽証、0.5合、5プラス

    不妊症に対して当帰散、散剤5グラムを1日2回投与。竜仙1包加スクアレン2カプセルを1日1回投与。

    1ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。2.5合、2プラス

    不妊の方がこれといって身体に変化はない様子。ただ、生理前に頭痛、肩凝り、倦怠感がすごくあった。体温が安定しないのが何ヶ月も続いている。今年に入ってから排卵したと思われても体温が上がらず高温期も高くなく続いている。排卵も遅れているようだ。

    3ヵ月後

    妊娠反応あり。胎嚢と小さな胎児を確認。漢方を飲み始めてまだそんなにたっていないのにとお喜びのご様子。前回、前々回と子宮外妊娠をしているのでとても心配してらしたが無事に子宮にいてくれたとのこと。流産を心配されている。

    糸練功で調べたところ、4合、2プラスと流産の気がある。

    竜仙スクアレンは中止して流産防止に対して当帰散のみを1日2回投与。8ヵ月後、妊娠5ヶ月目で順調な様子である。

    症例2。32歳、女性、160センチ、50キログラム

    主訴。不妊症、高プロラクチン、抗核抗体

    既往歴。特記すべきことなし。

    現病歴。特記すべきことなし。

    現症。160センチ、50キログラム

    治療経過。初回糸練功で調べたところ、不妊症。臓腑病、胆腑、陰証、2合、4プラス

    高プロラクチン血症。臓腑病、大腸腑、陽証、2.5合、4プラス

    不妊症に対して当帰散4グラムを分2で1日2回投与。高プロラクチン血症に対して芍薬甘草湯合桂枝茯苓丸1.5グラム、2.5グラムを1日2回投与。

    1週間後

    乳汁が出るとのこと。糸練功で調べたところ、瞑眩と思われる。

    2ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。3.5合、1プラス

    高プロラクチン血症。4合、1プラス

    4ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。6合、プラス2

    高プロラクチン血症。7合、プラス2

    7ヵ月後

    体外受精で妊娠。糸練功で調べたところ、5合、1プラスと流産の気がある。

    流産防止に対して当帰散5グラムを分3で1日3回投与。

    症例3。40歳、女性、170センチ、50キログラム

    主訴。不妊症

    既往歴。胃内停水

    現病歴。第一子を太陽堂漢薬局の不妊治療で妊娠。その後、他県に転居され他の薬局で不妊治療をされていたが5年間妊娠せず。

    現症。歯切り痕あり、スポーツが趣味でスポーツドリンクを多飲。

    治療経過。初回糸練功で調べたところ、不妊症。臓腑病、胆腑、陰証、5.5合、2プラス

    胃内停水。臓腑病、脾腑、陰証、2合、2プラス

    不妊症に対して当帰散3グラムを分2で1日2回投与。スクアレン4カプセルを分2で1日2回投与。胃内停水に対して二陳湯5グラムを分2で1日2回投与。

    2ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。5.5合、プラス3

    胃内停水。7合、プラス3

    4ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。9合、プラスマイナス1

    胃内停水。9合、プラスマイナス1

    6ヵ月後

    糸練功で調べたところ、不妊症。9.5合、プラスマイナス1

    胃内停水。10合、プラスマイナス1

    不妊症に対して当帰散1.5グラムを1日1回投与。スクアレン2カプセルを1日1回投与。胃内停水に対して二陳湯4グラムを1日1回投与。

    11ヵ月後

    妊娠反応あり。糸練功で調べたところ、5合、2プラスと流産の気がある。流産防止に対して当帰散4グラムを分3で1日3回投与。

    19ヵ月後

    無事元気な男の子を出産。

    結果、考察

    呈示した3例のうち、1例目は、抗核抗体の問題、基礎体温上の問題、ホルモンの問題もなかったが当帰散で妊娠した例である。2例目は、抗核抗体の問題がある方が当帰散で妊娠された方の例である。

    3例目は、胃内停水という本治的な不妊原因、二陳湯証がベースにある方に、当帰散をお出ししたら妊娠された方の例である。他にも太陽堂漢薬局では当帰散により高温期が安定され基礎体温表がきれいに2層に分かれた方がいらっしゃった。

    また金匱要略では、以下のような記載がある。当帰散の方。婦人妊娠、常に服するに宜し。当帰散之を主る。当帰芍薬散の方。婦人懐娠、腹中急痛するは、当帰芍薬散之を主る。当帰散は本来、妊娠時は常に服用するといいとされており、当帰芍薬散は妊娠時に腹中が急にひきつれるように痛い時に服用するといいとされている。

    これらのことから、太陽堂漢薬局では妊娠時の流産防止には当帰散の適用が望ましいと考えている。これらのことから、当帰散は抗核抗体のほかにも黄体ホルモンの正常化にも関与しているものと思われる。今後、当帰散がどのような証の患者に有効かを検討していく必要がある。

    文献

    大塚敬節、金匱要略講話、496頁、502頁、1979年

  • 女性ホルモンの東洋学的な婦人科へのアプローチ

    血海の反応。漢方研究会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    不妊症治療

    2015年11月伝統漢方研究会第12回全国大会。日本、京都東急ホテル

    木下文華、太陽堂漢薬局。福岡県

    緒言

    不妊症を含め婦人科の治療を行う際、FSH、PRL、LH等の臨床検査数値が薬方決定の決め手になることがある。それぞれの数値によって用いる方剤や薬味が絞り込めるからである。

    FSHに繁用する桂枝加竜骨牡蠣湯を関連付けて、バセドウ病や無月経に対して薬方を組んでみた。数名の手ごたえある例を得たのでここに報告する。

    症例1。薬歴6101

    39歳。女性。5年前、原発性不妊と診断された。2年間不妊症治療を行うも妊娠に至らず。タイミング法2回、人工授精7回。生理周期40から55日程度の生理不順。HMGプラスHCG療法で卵巣過剰症候群発症。プロバジル服用にて肝機能悪化。フーナーテストは異常無し。バセドウ病治療でメールカゾル服用中。

    糸練功にて甲状腺と血海の反応は一致しなかったが、妊娠した際のメルカゾールによる奇形のリスクを抑える為、不妊治療と併せて甲状腺の治療も行えないか考えてみた。

    糸練功結果
    • 不妊の証。肝、陰証、人参当芍散加減
    • 乳腺の反応。大腸、陽証、甲字湯合芍薬甘草湯加青皮
    • 甲状腺の反応。膀胱、陽証、桂枝加竜骨牡蠣湯

    甲字湯合芍薬甘草湯加青皮を標治、人参当芍散を本治で漢方治療を行っていた。治療途中、人参当芍散に桂枝加竜骨牡蠣湯を合方。メルカゾールが減薬となりバセドウ病の数値は安定した状態が続いている。

    症例2。薬歴6753

    35歳。女性。結婚して10年。ホルモン剤を飲まないと生理が来ない。生理予定日の少し前からホルモン剤を服用し生理を起こしている。FSHが高め。

    糸練功結果
    • 血海。肝、陰証、当帰芍薬散
    • 血海。大腸、陰証、温経湯
    • 血海。胆、陰証、当帰散
    • プロラクチン。大腸、陽証、甲字湯合芍薬甘草湯加青皮

    血海の反応は3箇所とも全て当帰芍薬散加枸杞子にて対応。プロラクチンの漢方薬と当帰芍薬散加枸杞子を続けて3ヶ月経過の後、当帰芍薬散に桂枝加竜骨牡蠣湯を合方してみた。この薬方でFSHに直接働く為、プロラクチンにも効果があると思われる。桂枝加竜骨牡蠣湯合当帰芍薬散加鹿茸枸杞子のみお飲み頂き1ヶ月後には今まで高温期の全く無かった基礎体温が二層に分かれて来た。

    症例3。薬歴5455

    41歳。女性。卵巣機能低下により高校生になっても生理が来なかった。18歳から結婚するまで10年以上の間、ホルモン剤を服用して生理を起こしていた。漢方治療を始めてからはホルモン剤の服用を中止している。

    糸練功結果
    • 生体内環境。膀胱、陽証、柴苓湯
    • 瘀血。甲字湯加紅花
    • 卵巣の反応。芎帰調血飲第一加減
    • 乳腺の反応。桂枝茯苓丸合芍薬甘草湯加青皮

    初回、芎帰調血飲第一加減と柴苓湯を選薬し、その後は瘀血を取る薬方を順番に試した。最終的に抵當丸まで行き着き、基礎体温は綺麗な二層に分かれてきた。帯脈にて人参当芍散証を確認。瘀血と相反する血虚の出現にどちらの治療をすべきか悩んだ結果、人参当芍散をお飲み頂く事にした。基礎体温表は高温期の安定した綺麗な二層にも関わらず未だ生理は来ない。

    高温期には頭痛や下腹部痛が起こる様になって来た。桂枝加竜骨牡蠣湯を合方し、卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモンそれぞれに直接働きかけるアプローチへと切り替えた。

    考察

    脳下垂体前葉ホルモンの卵胞刺激ホルモンFSHが過剰になると、卵巣機能は低下する。卵胞刺激ホルモンFSHに対しては桂枝加竜骨牡蠣湯を、卵巣機能低下又は不全に対しては当帰芍薬散、人参当芍散を繁用する。これらを合方すると関連付けた治療が出来ないだろうか。

    上記の例は、全例ともまだ薬方を組んだばかりであるが、新たな治療法の試みだと考えられる。今後の結果に期待が高まる。

    今回使用した漢方薬、保険食品
    • 桂枝加竜骨牡蠣湯。広南桂皮4、白芍薬4、大棗4、乾生姜1、甘草2、竜骨3、牡蠣3
    • 人参当芍散。当帰3、川芎1.5、白芍薬4、茯苓4、白朮4、澤瀉4、白人参3、ベトナム桂皮1.5、甘草1
    • 甲字湯。広南桂皮4、茯苓4、牡丹皮4、桃仁4、赤芍薬4、甘草1.5、乾生姜1
    • 芍薬甘草湯。白芍薬5、甘草5
    • 当帰芍薬散。当帰3、川芎3、白芍薬4、茯苓4、白朮4、澤瀉4
    • 芎帰調血飲第一加減。当帰2、熟地黄2、茯苓2、烏薬2、牡丹皮2、大棗1.5、乾生姜1、川芎2、白朮2、陳皮2、香附子2、益母草1.5、甘草1、桃仁1.5、紅花1.5、枳実1.5、ベトナム桂皮1.5、牛膝1.5、木香1.5、延胡索1.5、白芍薬1.5
    • 柴苓湯。柴胡5、半夏4、乾生姜1、黄芩3、大棗2.5、竹節人参2.5、甘草2、澤瀉5、猪苓3、茯苓3、白朮3、ベトナム桂皮2.5
    • 抵當丸。水蛭1、虻虫1、桃仁1
    • 青皮1から2
    • 枸杞子7から10
    • 鹿茸末0.2から0.3

    参考文献

    木下順一朗著。古方これだけ覚えれば絶対だ、伝統漢方研究会、2008

  • 無月経からの自然妊娠

    無月経という状態。漢方研究会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    自然妊娠

    2009年11月、伝統漢方研究会第6回全国大会。日本、東京ベイホテル東急

    木下文華、太陽堂漢薬局。福岡県福岡市、日本

    諸言

    健康な成人女性にとって、無月経という状態は極めて深刻な問題である。無月経は、原発性無月経と続発性無月経に分けられる。続発性無月経は、過度のストレスや急激なダイエット、ピルの長期服用、ホルモン療法による卵巣への影響など原因は様々である。

    今回、多嚢胞性卵巣症候群が原因の続発性無月経の例と、更に漢方治療にて続発性無月経から自然妊娠に至った例を経験したので報告する。2例とも西洋医学的治療を受けたが、改善しなかった例である。

    症例1。28歳女性、体重48キログラム、身長152センチメートル

    主訴。多嚢胞性卵巣症候群

    既往症。特になし

    現病歴。もともと生理周期は2ヶ月に1度ほどだった。病院で多嚢胞性卵巣症候群と診断を受ける。治療法は特にないとのことで、症状の悪化を防ぐ目的でピルを5年間服用するも生理の量は少ない。

    治療経過
    2008年1月
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、0.2合、3プラス、甲字湯加黄芩紅花。
    • ホルモンバランス、臓腑病、肝、陰証、0.9合、2プラス、当帰芍薬散加芍薬。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、肺、陽証、0.1合、4プラス、茯苓飲合半夏厚朴湯。

    病院で再度検査したところ、子宮に問題なし。多嚢胞性卵巣の状態も変わっていない。ピルを止めて、漢方薬で体質を整えて行きたいと強く希望されていた。瘀血改善を優先し、甲字湯加黄芩紅花と茯苓飲合半夏厚朴湯の代用としてナチュラルスクアレン、スクアレン含有加工食品、1個あたり350ミリグラムのスクアレンを含有、販売者有限会社MDR。3カプセルをお飲み頂くこととした。

    2008年3月
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、2.8合、2プラス、甲字湯加黄芩紅花。
    • ホルモンバランス、臓腑病、肝、陰証、1.8合、2プラス、当帰芍薬散加芍薬。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、肺、陽証、2.0合、2プラス、茯苓飲合半夏厚朴湯。

    ピルを止めてから2ヶ月経った。生理は来ない。

    2008年5月
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、4.8合、2プラス、甲字湯加黄芩紅花。
    • ホルモンバランス、臓腑病、肝、陰証、4.1合、2プラス、当帰芍薬散加芍薬。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、肺、陽証、3.7合、2プラス、茯苓飲合半夏厚朴湯。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、0.3合、5プラス、填南仙。

    早く瘀血が改善するよう、瘀血改善剤、填南仙2錠を追加。その3日後にピルを止めてから始めての生理が4日間続いた。生理痛もなく、出血もピル服用時より綺麗だったとのこと。

    2008年8月
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、6.2合、1プラス、甲字湯加黄芩枳殻紅花。
    • ホルモンバランス、臓腑病、肝、陰証7.1合、1プラス、当帰芍薬散加芍薬。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、肺、陽証、5.0合、1プラス、茯苓飲合半夏厚朴湯加香附子。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、2.1合、2プラス、填南仙。

    5月以降、生理は来ない。先月よりスクアレンを茯苓飲合半夏厚朴湯加香附子の正式処方へ切り替えている。填南仙を休止、甲字湯エキス3.8グラム加黄芩末0.23グラム紅花末0.12グラムに枳殻末0.2グラムを追加。

    2008年10月
    • 窮仙穴の反応Z1、臓腑病、胆、陽証、9.3合、プラス1、甲字湯加黄芩紅花枳実。
    • 窮仙穴の反応Z2、臓腑病、肺、陽証、9.0合、プラス1、茯苓飲合半夏厚朴湯加甘草香附子。
    • 窮仙穴の反応Z3、臓腑病、肺、陽証、1.9合、3プラス、折衝飲加当帰木通。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、3.3合、1プラス、填南仙。

    病院にて採血したところ、FSH、血清LH、血清Eが基準値より低い。排卵障害とストレスも見受けられる。主治医よりホルモン療法を勧められたが、本人の希望で服用しないとのこと。今回糸練功にて最も深い体質と思われる折衝飲証を確認。折衝飲。桃仁、当帰各5、牡丹皮、川芎、白芍薬、桂枝各3、延胡索、牛膝各2、紅花1加当帰0.5木通1.1の煎じ薬と瘀血改善を促す填南仙2錠へ切り替えた。

    2008年11月
    • 窮仙穴の反応Z1、臓腑病、胆、陽証、9.5合、プラス1、甲字湯加黄芩紅花枳実木香。
    • 窮仙穴の反応Z2、臓腑病、肺、陽証、9.3合、プラス1、茯苓飲合半夏厚朴湯加甘草香附子。
    • 窮仙穴の反応Z3、臓腑病、肺、陽証、3.0合、1プラス、折衝飲加当帰木通。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、4.1合、1プラス、填南仙。

    ご相談時に生理が自然に来た。煎じ薬の当帰を抜き、甘草0.4グラムを追加した。

    2009年1月
    • 窮仙穴の反応Z1、臓腑病、胆、陽証、9.8合、プラスマイナス1、甲字湯加黄芩紅花枳実木香。
    • 窮仙穴の反応Z2、臓腑病、肺、陽証、9.7合、プラス1、茯苓飲合半夏厚朴湯加甘草香附子。
    • 窮仙穴の反応Z3、臓腑病、肺、陽証、5.7合、プラス3、折衝飲加甘草良姜木通呉茱萸香附子茯苓。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、6.9合、プラス2、填南仙。

    昨年の11月以来、ホルモン療法なしで2回目の生理が起きた。とても喜んでおられた。煎じ薬に更に香附子1.5、良姜0.5を追加した。

    2009年6月
    • 窮仙穴の反応Z1、臓腑病、胆、陽証、10合、プラスマイナス1、甲字湯加黄芩紅花枳実木香。
    • 窮仙穴の反応Z2、臓腑病、肺、陽証、9.7合、プラス1、茯苓飲合半夏厚朴湯加甘草香附子。
    • 窮仙穴の反応Z3、臓腑病、肺、陽証、5.0合、1プラス、折衝飲加蝉退甘草蘇葉厚朴香附子ヨクイニン。
    • 瘀血の反応、臓腑病、胆、陽証、9.1合、プラス1、填南仙。

    糸練功にて4月の時点で更に深い折衝飲証を確認。4月は0.2合の状態だったが、2ヶ月で5合まで改善。

    その後、42から45日周期で生理が起きて、低温期高温期も随分安定してきた。現在も漢方治療を続けているが、生理周期がより短く、基礎体温も綺麗な二層になりつつある。毎日基礎体温表を付けられているが、目に見えての変化にご本人も大変喜ばれている。

    症例2。27歳女性、体重48キログラム、身長157センチメートル

    主訴。妊娠希望。

    既往症。特になし。

    現病歴。2006年8月に妊娠5週目で流産。それから生理が来ない。流産後の無月経が気になる。

    治療経過
    2007年2月
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、大腸、陽証、0合、4プラス、甲字湯加黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、胆、陰証、0.1合、3プラス、人参当芍散。

    婦人科での不妊症治療はお休みして、しばらく漢方薬で体質を整えて行きたいとのこと。この時点での不妊の原因と思われる証を2箇所確認。甲字湯エキス4グラム加黄芩末0.35グラム、人参当芍散エキス4.2グラム。それぞれの漢方薬を飲み始めて1週間後に手足の冷え症が改善されてきた。今はアンカが無くても眠れるようになったと喜ばれていた。

    2007年5月
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、大腸、陽証、4.6合、1プラス、甲字湯加黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、胆、陰証、5.2合、1プラス、人参当芍散。
    • 生理の状態、経絡病、肝、陰証、0.1合、3プラス、当帰芍薬散加黄芩。
    • 生理の状態、臓腑病、肺、陽証、0.3合、3プラス、甲字湯加紅花。

    婦人科の検査では卵管、ホルモン数値とも大きな問題はない。本人は流産の後処理が気になる。また生理がなくイライラしているご様子。人参当芍散を当帰芍薬散エキス5グラム加黄芩末0.44グラムへ切り替える。また甲字湯加黄芩を甲字湯4グラム加紅花0.28グラムへ切り替えた。

    2007年7月
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、大腸、陽証、5.1合、1プラス、甲字湯加黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、胆、陰証、5.9合、1プラス、人参当芍散。
    • 生理の状態、経絡病、肝、陰証、2.3合、1プラス、当帰芍薬散加黄芩。
    • 生理の状態、臓腑病、肺、陽証、2.5合、1プラス、甲字湯加紅花。

    血虚の改善を強めるため、甲字湯加紅花を休止し人参当芍散4グラムと当帰芍薬散4加黄芩0.22へ変更する。生理はまだ来ずイライラするが、病院の不妊治療を再開するかどうか迷っていらっしゃった。

    2007年12月
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、大腸、陽証、4.8合、プラス3、甲字湯加黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、胆、陰証、7.6合、プラス2、人参当芍散。
    • 生理の状態、経絡病、肝、陰証、7.3合、プラス3、当帰芍薬散加黄芩。
    • 生理の状態、臓腑病、肺、陽証、4.9合、プラス3、甲字湯加紅花。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、胆、陰証、0合、4プラス、当帰芍薬散加黄芩。

    身体が温かくなり、イライラしなくなってきた。生体内環境に当帰芍薬散加黄芩証あり。生体内環境、窮仙穴の反応に分量を合わせると、全ての証に対応出来る様。今まで人参当芍散を4グラム、当帰芍薬散4グラム加黄芩0.22グラムずつ飲まれていたが、人参当芍散を変更して当帰芍薬散6.2グラム加黄芩0.5グラムに増量してお飲み頂いた。

    2008年4月
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、大腸、陽証、8.1合、プラス1、甲字湯加黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、臓腑病、胆、陰証、8.5合、プラス2、人参当芍散。
    • 生理の状態、経絡病、肝、陰証、9.2合、プラス1、当帰芍薬散加黄芩。
    • 生理の状態、臓腑病、肺、陽証、7.3合、プラス2、甲字湯加紅花。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、胆、陰証、3.7合、2プラス、当帰芍薬散加党参黄芩。
    • 妊娠しやすい体質作り、経絡病、胆、陽証、1.2合、2プラス、甲字湯加紅花。

    体調は良いが疲れが溜まりやすい。季節の変わり目は熱が出やすく体調を崩しやすくなるとのこと。甲字湯加紅花証の経絡を確認。生体内環境の当帰芍薬散に党参末0.17グラムを追加。甲字湯1.7加紅花0.12も一緒にお出しした。1ヶ月後、病院にてホルモン値の検査をしたところ、漢方薬治療前より明らかにホルモン数値が改善されている。5月初旬からの卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤の使用により、生理が来た。2ヶ月間、ホルモン剤にて生理を起こしたが、排卵はしていないとのこと。主治医から排卵誘発剤を使用しないと排卵が起こらないと言われた。しかし体外受精をする時が来るまでは出来るだけ使用したくないとおっしゃっていた。

    2008年10月
    • 妊娠しやすい体質作り、経絡病、胆陽証、7.8合、プラス2、甲字湯加紅花。
    • 生理の状態、経絡病、肝、陰証、10合、プラスマイナス、当帰芍薬散加黄芩。
    • 生理の状態、臓腑病、肺、陽証、9.5合、プラス1、甲字湯加紅花。
    • 窮仙穴の反応、臓腑病、胆、陰証、8.5合、プラス2、当帰芍薬散加党参黄芩。

    9月25日から10月2日まで、ホルモン剤を飲まなくても生理があった。普通に生理があり、大変喜ばれていた。体外受精を延ばして、しばらくタイミング法を取って行くとのこと。毎年、この時期は体調を崩しやすかったのが、今年は元気に過ごせている。

    2009年5月

    安胎薬。臓腑病、心、陰証、3.1合、3プラス、白朮散加党参

    しばらくタイミング法を続けていたところ、予定日になっても生理が来ない。検査薬にて陽性反応あり。その後婦人科へ行くと、妊娠4週目だったと報告を受けた。

    考察

    太陽堂漢薬局では、無月経の病因として血虚、瘀血の影響など念頭に入れ治療を進めていく。現象としては黄体ホルモンや卵胞ホルモンの分泌不足であっても、それが東洋医学的には、瘀血が原因の場合、反対に血虚の場合、また脾虚の場合など複数の病因が考えられる。

    血虚の場合は、卵巣の機能低下や不全が推測できるが、瘀血の場合は卵巣が弱っているのではなく、逆にオーバーヒートしている状態だと考えると理解しやすい。また患者さんは、ストレスも大きく、ストレスによる影響も考慮して取り組んでいる。

    今回の例では先表後裏の原則に基づいて標治部から本治部へ治療を行った。本治部分は、改善に伴い、より深い体質的な証が現れることが多くあると思われる。そして最も深い体質を中心に治療を進めて行くと、今までより治癒率が上がっていると肌で感じる。

    今回使用した漢方薬

    • 甲字湯、桂枝茯苓丸、人参当芍散、半夏厚朴エキス剤。販売者、長倉製薬
    • 当帰芍薬散。販売者、ウチダ和漢薬
    • 茯苓飲。販売者、小太郎漢方製薬
    • 黄芩末。販売者、太陽堂漢薬局薬局製剤
    • 紅花末。販売者、太陽堂漢薬局薬局製剤
    • 枳殻末。販売者、太陽堂漢薬局薬局製剤
    • 党参末。販売者、太陽堂漢薬局薬局製剤

    折衝飲

    • 桃仁、販売者、ウチダ和漢薬
    • 当帰、販売者、ウチダ和漢薬
    • 牡丹皮、販売者、ウチダ和漢薬
    • 川芎、販売者、ウチダ和漢薬
    • 白芍薬、販売者、高砂薬業
    • 広南桂皮、販売者、ウチダ和漢薬
    • 延胡索、販売者、ウチダ和漢薬
    • 牛膝、販売者、ウチダ和漢薬
    • 紅花、販売者、ウチダ和漢薬
    • 甘草、販売者、高砂薬業
    • 木通、販売者、ウチダ和漢薬
    • 填南仙、動植物エキス加工食品、原材料アスタキサンチン、イチョウ葉、サンシチニンジン、サンザシ、タンジン葉、トウサンカ、ウコン、ケイケットウ、ベニバナ、オタネニンジン、オリゴ糖、精製シェラック、ショ糖脂肪酸エステル、販売者有限会社MDR
    • ナチュラルスクアレン、スクアレン含有加工食品、1個あたり350ミリグラムのスクアレンを含有。販売者有限会社MDR
  • 不育症に対する当帰散。柴苓湯の働き

    不育症に対して。国際学会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    不育症。

    2009年11月傷寒論学会経方臨床運用。中国、広州中医薬大学

    木下順一朗。福岡県福岡市、日本

    諸言

    不妊症Femaleinfertilityや不育症で悩んでいるご夫婦は非常に多く切実である。不妊症に対する東洋医学の治療法、治療薬は非常に多く、また有効性も高い。また西洋医学的薬理解析も行われている。例えば、高プロラクチン血症Hyperprolactinemiaに対する芍薬甘草湯。抗核抗体Anti-DNAAntibodyや抗リン脂質抗体が原因の不育症に対する柴苓湯、白朮によるサイトカインCytokineTh2のインタロイキンInterleukin5への直接分泌抑制作用などが証明されてきている。

    今回、不妊症、不育症に対して傷寒雑病論金匱要略婦人妊娠病脈証并治第二十当帰散、傷寒論太陽病中篇第四十二章五苓散、第五十四章小柴胡湯を主薬方とし、有効だった例を経験したので報告する。

    対照並びに方法

    西洋医学の婦人科にて治療を受けたが妊娠に至らなかった例にて東洋医学的投薬治療を行う。望診、問診、糸練功による脈診、基礎体温表を元に当帰散証或いは柴苓湯証と判断し投薬治療をした。

    症例1。39歳、女性、主婦

    主訴。結婚6年、1度も妊娠経験なし。

    既往症。特記すべき事なし。

    現病歴。1年前より、西洋医学の婦人科の治療を受けている。西洋医学的な検査では異常が無いため、排卵確認とタイミング療法のみ受けている。

    現症。身長158センチ、体重56キログラム、最高血圧106、最低血圧89、冷え性で寒がり、顏色普通、口渇、口乾無し、二便正常。時々蕁麻疹が出る。性周期28日、生理期間5日間、生理痛は殆ど無い。

    治療経過。2006年12月8日、温経湯と柴苓湯を投薬。

    2007年1月11日、東洋医学の治療を受けてから、月経前症候群PremenstrualSyndromeによる動悸や頭痛、精神不安が消失し肌も綺麗になる。

    2007年3月から9月の間に西洋医学の婦人科にて体外受精InVitroFertilizationを3回行うが、妊娠には至らなかった。

    2008年2月5日、東洋医学の服薬治療のみにて自然妊娠。西洋医学の婦人科にて胎嚢を確認し5週目と診断される。その後は、安胎薬として当帰散を服用する。

    症例2。40歳、女性、主婦

    主訴。第二子不妊。

    既往症。特記すべき事なし。

    現病歴。若い頃より生理不順であった。1995年稽留流産Missedabortion。1999年男児を出産。2006年、性周期が乱れ不正出血あり西洋医学の婦人科にてエストロゲンの減少を指摘される。その後、次第に性周期は改善するが現在も40日の性周期である。

    現症。身長162センチ、体重48キログラム、最高血圧104、最低血圧86、四肢のみ冷える。口渇、口乾なし、小便多く小便色は透明。大便正常。性周期は40日、生理期間6日間、生理痛あり。

    治療経過。2007年1月19日、高プロラクチン血症と思える証に対し甲字湯合芍薬甘草湯を投与。ホルモンを整えるために当帰散を投与。

    2007年2月17日、高温期の胸の張りが消失。東洋医学治療前は性周期が40日であった。

    2007年3月24日より生理。性周期35日で4月28日生理。性周期34日で6月2日生理。性周期が正常に近くなる。

    2007年7月、自然妊娠するが流産。2008年1月23日、自然妊娠。安胎薬として当帰散を継続服用する。

    2008年9月20日、41歳にて女児出産する。

    症例3。31歳、女性、薬剤師

    主訴。稽留流産、不妊症

    既往症。7歳時鼠径ヘルニア、食物による蕁麻疹

    現病歴。2004年妊娠するが8週目で稽留流産。2005年8月2回目の妊娠、7週目で稽留流産する。2度目の稽留流産後、西洋医学の婦人科にて胎児の検査を行い、胎児に染色体異常が有ったことが判明。しかし夫婦は共に染色体異常、その他の検査で異常は無し。

    現症。身長165センチ、体重56キログラム、最高血圧110、最低血圧65、四肢のみ冷え性。口渇あり小便多い、夜間尿2から3回。大便正常。性周期28日、生理期間6日間。生理痛あり。

    治療経過。2007年1月20日、当帰散と温経湯を投薬。服薬の次日に軟便となる。軟便は1日で収まったが、その後4日間は倦怠感で体調不良となる。

    2007年2月14日、低温期が0.2度程上昇する。

    2007年4月19日、低温期から高温期への体温上昇がなく低温のまま高温期となる。

    2007年5月19日、低温期から高温期への移行が明確となり体調も良い。

    2007年6月7日、西洋医学の婦人科にて胎嚢を確認し妊娠判明、5週目の診断。

    2008年1月31日、2860グラムの女児出産。

    考案並びに結論

    今回、当帰散、柴苓湯の小柴胡湯合五苓散を中心とした不妊症、不育症の例を報告した。傷寒雑病論金匱要略婦人妊娠病脈証并治第二十に云う「婦人妊娠、宜常服、當帰散主之。中略。妊娠常服即易産、胎無苦疾、産後百病悉主之。中略。婦人妊娠、常に服するに宜し。当帰散之を主る。中略。妊娠常に服すれば、即ち産を易くし、胎に苦疾なし。産後の百病悉く之を主る」

    太陽堂漢薬局では当帰散による不妊症、不育症の治療例が多数ある。当帰散と柴苓湯の併用で効果的な例も多数ある。不妊症、不育症の当帰散証には、幾つかの特徴が見られる。

    1. 基礎体温にて排卵期から高温期への体温の上昇に時間を要する。
    2. 基礎体温にて高温期が安定しない。
    3. 抗核抗体、抗リン脂質抗体、抗精子抗体等の問題にて不育症がある。
    4. 化学的流産Chemicalabortionや稽留流産の経験者。

    金匱要略に妊娠常服。妊娠したら常に服すと言っている。これは高温期の安定しないホルモンの問題、不育症の原因である自己免疫の問題等にも当帰散が対応し妊娠を継続させることを示唆していると考える。また、当帰散と柴苓湯の五苓散合小柴胡湯の併用にて妊娠する例が多い。これから推測するに免疫の問題による不育症の場合は、当帰散証が標治法、柴苓湯が本治法とも考えられる。

    当帰散は妊娠後に服用する薬方との解釈が多い。当帰散は高温期を安定させ妊娠させ易くし、同時に免疫の問題を最小限に抑えることにより妊娠継続が出来ると考えられ、化学的流産や稽留流産の経験者を含め不育症が原因と思われる場合は、妊娠する前から当帰散を服用した方が良いと考える。

  • 卵管狭窄に対する六君子湯の効果

    卵管狭窄、卵管閉塞が原因で不妊症。国際学会で発表

    太陽堂漢薬局が発表報告した論文。論文、改善例のご案内はこちら

    卵管狭窄、卵管閉塞。

    2002年10月中華中医学会中日中医方薬応用学術検討会。中国、北京中医薬大学

    木下順一朗。福岡県福岡市、日本

    諸言

    卵管狭窄、卵管閉塞が原因で不妊症と成っている婦人は非常に多い。淋菌やクラミジアなどの感染症による卵管炎などで卵管狭窄や卵管閉塞を引き起こすことがある。この様な炎症によって卵管が周囲臓器と癒着すると、卵管の蠕動運動が妨げられ、卵の輸送障害も生じたりする。その結果、不妊症、子宮外妊娠、流早産や異常分娩の原因となることもある。また子宮内膜症が進行したために起きた卵管狭窄など卵管性不妊の原因は様々である。

    西洋医学では卵管性不妊に対し卵管造影検査や腹腔鏡検査などで卵管の狭窄や閉塞を見つけ、卵管通水治療、腹腔鏡と卵管鏡を組み合わせた卵管疎通術、子宮内膜症の場合には腹腔鏡を行い卵管周囲の癒着の剥離を行う。また体外受精、胚移植法などが有効とされている。

    今回、卵管狭窄に対し六君子湯が有効であった不妊例について報告する。

    対象並びに方法

    全例西洋医学的検査により卵管狭窄、卵管閉塞症と確認診断され、西洋医学的な治療を行ったが改善されず、卵管が通じず妊娠に至らなかった例を対象とした。また全例西洋医学の治療を中止し東洋医学の治療のみとした。

    望診、問診により脾虚を確認した例も有るが、脾虚を明確に確認出来ない例も有った。

    症例1。38歳、女性、主婦

    主訴。卵管狭窄

    既往症。特記すべき事なし。

    現病歴。結婚して9年目。西洋医学の婦人科に於いて卵管狭窄と診断され治療を続けたが妊娠せず、2000年3月13日来局相談となった。

    現症。身長158センチ、体重52キログラム、やや顏に浮腫あり、顏色普通。舌診は潤で微白苔。性周期は28日で順調、生理痛も無い。

    治療経過。六君子湯を1日2回、スクアレン1日量300ミリグラム1日1回を投与した。6月12日、生理が遅れており、妊娠している可能性がある事が判明。

    6月25日、西洋医学の婦人科にて妊娠6週目との診断される。その後、流産防止の目的で当帰芍薬散加芍薬3グラムを1ヶ月間服用し無事出産となった。

    卵管狭窄により9年間妊娠しなかった婦人が、僅か2ヶ月の六君子湯の服薬で妊娠した例である。

    症例2。31歳、女性、主婦

    主訴。卵管狭窄、卵胞発育不良

    既往症。子宮後屈、子宮外妊娠

    現病歴。結婚して8年。4年前に子宮外妊娠、妊娠はその前もその後も無い。西洋医学婦人科の検査により卵管狭窄と診断される。また卵胞の発育が悪く卵胞が小さいとの指摘を受ける。西洋医学的治療を続けてきたが妊娠せず、2002年4月19日東洋医学の治療を希望し来局された。

    現症。身長161センチ、体重49キログラム、性周期は30から35日、月経量は少なく生理期間は7日間。口渇、口乾は無く水分を好まない。発汗量は少なく尿量も少ない。大便は下痢と便秘を繰り返している。舌診の結果は地図舌、舌質淡で脾気虚が伺える。右下肢の膝より下に浮腫が有り、右膝部分に下肢血栓症が有る。

    治療経過。卵管狭窄に対し六君子湯1日2回、卵胞の発育不良に対し桂枝加竜骨牡蠣湯を1日1回投与する。東洋医学の治療開始後、食欲もあり体調も良いと本人が報告する。

    治療開始3ヵ月後、西洋医学婦人科にて妊娠を確認される。

    症例3。30歳、女性、事務職

    主訴。卵管狭窄

    既往症。無排卵月経

    現病歴。不妊症で西洋医学婦人科を受診。当初は無排卵月経の診断を受ける。ドオルトン、プレマリン、排卵誘発剤のクロミッド、当帰芍薬散で、排卵するように成ったが妊娠せず。卵管造影の結果、両方の卵管が狭窄していることが判明。内膜症や細菌感染はない。1年間治療するが卵管が通らず、通常妊娠は不可能との診断を西洋医学婦人科にて受ける。

    2002年7月27日東洋医学の治療を希望し来局。

    現症。身長158センチ、体重50キログラム、最高血圧100、最低血圧60。日中発汗少なく、盗汗がある。便通は下利軟便。やや睡眠障害がある。性周期は35日、生理期間は7日間、生理痛がある。

    治療経過。六君子湯1日2回、1日量スクアレン600ミリグラムを1日2回に分け投与した。

    服用14日目、卵管造影の再検査を行う。今まで1回も卵管が通じた事が無かった。しかし今回は卵管が通じている事が確認される。また以前は卵管造影時の痛みも酷かったが、今回は痛みも全く無かった。

    結果

    今回報告した3例を含め、西洋医学的治療が無効だった卵管狭窄であっても六君子湯で卵管が通じる事が多い。また治療期間も2週間から5ヶ月程で終わり短期間である。

    考案並びに結論

    不妊症全般に対する六君子湯の治療例はすでに報告例がある。

    しかし卵管狭窄に対する六君子湯の報告例は見受けられない。今回は不妊症の中で明確に卵管狭窄が原因と成っている場合の六君子湯の治療例を報告した。

    六君子湯は人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、甘草、大棗、生姜で構成され、四君子湯と二陳湯の両方意を持っていると思われる。卵管狭窄が、どの薬味により改善されるのか、又はこれらの薬味の相互作用にて改善されるのか今後の研究を待たないといけない。

    また卵管狭窄に対する西洋医学的治療は不妊症患者に苦痛を強いる場合も多く、六君子湯はもっと汎用されてもよい処方と考えられる。